恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第八十話 陳宮、決意するのことその九
「敵軍がな」
「そうなのです。とにかく時間がないのです」
「じゃあ決まりだな」
山崎は笑顔で言った。
「行って来いよ」
「そうするのです」
「確かに俺は悪党で外道さ」
まさにそのものの言葉だった。
「けれどな」
「けれど?」
「他人が誰かの為に何かをすることを邪魔することはしないさ」
「それはないのです?」
「そういうことはしないんだよ」
また言う山崎だった。
「あとな。口は堅いぜ」
「口もなのです」
「このことは言わないさ」
笑ってだ。山崎は述べた。
「まあ帰ったら馬刺し御馳走してくれよ」
「馬刺し?ああ、馬の刺身なのですね」
「そうさ。それを御馳走させてもらうぜ」
「わかりましたのです。それなら帰ったら」
「前から妙に思ってたけれどな」
山崎はこんなことも述べた。
「何で俺達がこっちの世界に来てるのかな」
「それは誰もわからないことだったのです」
「とりあえず深く考えずに遊んでたけれどな」
「遊んではいなかったと思うのです」
「言い換えるか。強制労働と修業地獄だったな」
うんざりとした顔になってでだった。山崎は陳宮に話した。
「こっちの世界じゃな」
「それが楽しかったのです?」
「楽しいと思うか?」
「いえ、全然なのです」
それはもう言うまでもないことだった。
「凄く嫌そうだったのです」
「そうだよ。キムとジョンが一緒にいたからな」
それではだった。楽しい筈がなかった。
「洒落にならなかったな」
「それは今もなのです」
「その通りだよ。まあとにかくな」
「はいなのです」
「行って来るんだな」
陳宮に笑顔で告げた。
「それであんたの手に入れたいものを手に入れるんだな」
「そうするのです」
こうしてだった。陳宮は一人関を出た。そうしてそのうえでだった。彼女の為すべきことをせんと向かうのであった。
その頃連合軍では。また騒動が起こっていた。
ジョーカーがだ。騒いでいたのだ。
「全くねえ。何かが違うんだよね」
「そうか?」
「違うのかのう」
覇王丸と狂死郎がそのジョーカーに問い返していた。
「花札と同じだろ」
「このトランプなるものも」
「そうだ。同じだ」
ズィーガーもそれを言う。
「私も花札を知っているが」
「だから違うんだよ」
まだ言うジョーカーだった。
「何ていうかね。イカサマをしにくいんだよ」
「そんなことするなよ」
「全くだ」
覇王丸と狂死郎がこう突っ込みを入れる。
「今金とかはかけてないけれどな」
「それはいかんぞ」
「いかさまをしないと楽しくないじゃない」
しかしまだ言うジョーカーだった。
「だからここはさ。楽しくね」
「ったく、しょうがねえ奴だな」
「それが御主のやることか」
「そうだよ。だって僕は明るく楽しくだから」
それでだというのだ。
「イカサマも楽しくね」
「イカサマは楽しくするものなのか?」
十兵衛はそのことに疑問を呈した。
「それは違うと思うが」
「ああ、俺もそう思う」
「わしもだ」
「私もだ」
覇王丸と狂死郎だけでなくズィーガーも述べる。
ページ上へ戻る