恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第八十一話 張飛、陳宮を庇うのことその一
第八十一話 張飛、陳宮を庇うのこと
華陀はだ。今度はだ。
怪物達と共に北の地に来ていた。そこは見渡す限りの草原だった。
緑の絨毯の中にいてだ。彼は言うのだった。
「ここだな」
「ええ、感じるわ」
「ここになるわね」
怪物達も彼のその言葉に頷く。それぞれ彼の左右を固めている。
「定軍山と赤壁もあるけれど」
「最後はここになるわね」
「運命の決戦ね」
「それになるわね」
「そうだな。ここしかない」
華陀は目を鋭くさせて話す。
「連中にとってもな」
「この国はいつも北の勢力に悩まされてきているからね」
「だからあれもあるんだし」
「万里の長城は伊達じゃないわ」
「あれを築いているのはちゃんとした理由があるのよ」
「そうだな。しかしな」
ここでまた言う華陀だった。
「それはこの時代だけじゃないんだな」
「そうよ。二十一世紀もね」
「ずっと変わらないことなのよ」
貂蝉と卑弥呼がそのこともだった。華陀に話したのだ。
「匈奴から鮮卑、突厥、遼、金」
「それでモンゴルね」
「そこからロシアになっていくのよ」
「けれど全部同じなのよ」
こう話すのである。
「北からの勢力にね。悩まされる運命なのよ」
「この国にとって北は大きな問題なのよ」
「そうか。俺達の時代だけじゃないんだな」
華陀は真面目な顔で話す。
「考えてみれば昔からだからな」
「そうでしょ。周が遷都したのも彼等のせいだったしね」
「始皇帝も悩まさせられたし」
それで長城を築いたのだ。それがはじまりだったのだ。
「この国は絶対に北からの脅威からは逃れられないわ」
「どうしてもね」
「しかしな」
ここで華陀は言うのだった。
「一応匈奴や烏丸は組み込まれたけれどな」
「袁紹さんによってね」
「そうなったわね」
それはそうなったという。
しかしだった。それでもだと貂蝉と卑弥呼は話すのだった。
「けれどよ。北はまだまだ続くから」
「この草原の北には物凄い森林地帯があるけれど」
「そこに至るまでずっと草原だから」
「それまでに一杯色々な部族がいるのよ」
「そして奴等の伏兵もだな」
華陀は言った。
「いるんだな」
「そうよ。幾らでもいるわ」
「そしてそのうえで機が来ればね」
「漢に来る」
華陀は言った。
「そうしてくるんだな」
「ええ。今の都のことはまだはじまりに過ぎないわ」
「大変なのはこれからよ」
怪物達は華陀にこう述べる。
「だから都の話を終わらせても安心しないで」
「戦いはまだまだ続くから」
「わかった。それで奴等の漢での本拠地は」
今度はその話をする華陀だった。
「定軍山なんだな」
「ええ、あそこよ」
「あそこにいるわ」
「わかった」
そのことを聞いて頷く華陀だった。
そしてそのうえでだ。彼はこうも言った。
「それなら。都での話が終わればだ」
「そこに向かってね」
「漢での拠点を潰しておかないとね」
「次から次にそうしていくか」
華陀は真面目な顔で述べた。
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