開闢せし世界の運命
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第2部
原作編
1話
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零士サイド
あれから二年の月日が経過した。俺としても「いよいよ」かと呟いてると、キリシュタリアが
「時が満ちた・・・・・・零士、キミは覚悟はできてるのか」
「既に出来てるよ。後戻りができないくらいにな」
俺はキリシュタリアにそう言って、目覚めさせられるの待ったのだった。
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マシュサイド
人理焼却から一年が経過しました。先輩――藤丸立香と過ごした場所、かつて、Aチームだった皆さんと共に過ごした場所――カルデア。
査察官から来てから、様々な質問が聞かされてきていましたが、先輩がAチームについて聞かれました。そうですね。人理焼却の時、彼らのことを話してる時間がありませんから。先輩が知らなくてもおかしくありませんし、気になってしょうがないかと思われておかしくありません。
ですので、ダ・ヴィンチちゃんと一緒に話すことにしました。
「Aチームはカルデアから選抜されたA級マスターだ。マシュもこのチームに含まれていた」
そこからはダ・ヴィンチちゃんがメインで、私がサブという立場で話し始めました。
「まず一人目。キリシュタリア・ヴォーダイム。アニムスフィア家が牛耳る、時計塔十二学科の一つ天体科の主席にして、Aチームのリーダー。家柄も魔術回路も千年単位の歴史を持つ、名門中の名門ヴォーダイム家の若き当主。オルガマリーより『ロードの後継者らしい』と噂された、マリスビリーの一番弟子。予定したサーヴァントは槍兵。魔術師としての総合力は彼が一番だった」
最初はキリシュタリアさんのことを話しました。彼に関しては、私たちAチームのことを視てくれてました。
「オフェリア・ファムルソローネ。降霊科の秀才。彼女は特別な魔眼持ちでね。その眼帯姿はカルデアでもよく目立ったな。予定していたサーヴァントは剣士。人種的に、契約する英霊にはこだわりがあったようだ」
オフェリアさんは私とよく話してることが多かった気がします。でも、彼女は零士さんのことを好いてましたし、付き合っていました。
「カドック・ゼムルプス。彼は平凡な魔術師だが、レイシフト適性が高かった。境遇は藤丸立香に似ている。カドックは天才揃いのAチームにおいては平凡だったからね。でもその分、優しい笑顔を浮かべる青年だった。やや自虐的ではあったけど」
それには私も
「はい、カドックさんは周囲に気を配る方でした。反面、悲観的になってしまうことをご本人も気にしていましたが・・・・・・」
同じことを思っていました。
「彼が予定していたサーヴァントは魔術師。魔力量の少ない彼は、燃費の悪い戦闘用サーヴァントを避けたがっていた」
カドックさんは零士さんと気があっていましたし、零士さんから教えられてることもありました。
「次。スカンジナビア・ペペロンチーノ。もう一度言うぞ。スカンジナビア・ペペロンチーノ。国籍不明。間違いなく名前も偽名。マリスビリーが旅先で知り合い、スカウトしたフリーの魔術師だ。気さくでひょうきん、いつもジョークを口にしてはAチームの空気を温めていた。Aチームでは最年長でね・・・・・・ちょっと、生まれる時代を間違えた男だよ。予定していたサーヴァントは弓兵。イタリア系の風貌だったが、妙に仏教に詳しい男だった。当然、インド神話にもとても強かった。『何度も滅びては繰り返す神話観が好きだ』とも」
ペペロンチーノさんは面白い人物だったのを覚えています。よくAチームを和ませてくれました。
「芥ヒナコ。時計塔では魔女学として知られる植物科の出身。カルデアの技術者だったが、その才能を見抜かれてマスター候補にされてしまった。日がな一日、物陰で本を読んでいるのが幸せ、という女性だったんだけどね。でも、彼女には確かに妙なオーラがあった。ロマニも健康診断を受けてくれない、と拗ねていたっけ。予定していたサーヴァントは騎兵。何でも、本人の強い希望だったらしい」
芥さんはよく図書室で読書していましたね。零士さんも図書室で読書していました。
「そして・・・・・・ベリル・ガット。この人物については――」
「・・・・・・」
私もベリルさんについては話したくありません。零士さんはよく接しましたねと思うぐらいです。
「まあ、一人ぐらいは名前だけで済ませるマスターがいてもいいだろう! 次に行こう!」
ダ・ヴィンチちゃん!? 無理矢理感があります!?
「最後に二人は・・・・・・ああ、彼か。デイビット・ゼム・ヴォイド。天才が集まったAチームの中の、唯一の不明点・・・・・・というか、危険人物・・・・・・というか。魔術協会での専攻は伝承科。伝承科は時計塔設立時から最も『生徒の少ない』科目・・・・・・この世ならざる遺物を扱う、学長直属の異端学問でね。そこから追放された人物だ。マリスビリーは彼の能力を高く買っていた。私も、デイビットは稀な青年だと思う。この私が他の天才を認めたのは生前でも一人か二人といったところだけど。デイビットはその類の異常者だ。彼は誰も理解しようとしないし、彼が理解されることはない。予定していたサーヴァントは狂戦士。意思の疎通は、ハジメから期待していなかった」
デイビットさんに関しても零士さんはよく話し合えたと思っています。同じところで境遇していたのでしょうか、凄いと思いました。
「そして、最後の一人が、海藤零士。極東の日本生まれで、時計塔では考古学の秀才。両眼とも特別な魔眼持ちでね。左眼は常に眼帯姿がよく目立ったわね。Aチームの中で、頭脳明晰、頭の回転が異常すぎていた。知識量も豊富で、Aチームの中では参謀的な立ち位置にいた。総合力に関しては二番目だけど、頭脳、智謀に長けた戦いだったら、あの世界最高の私立探偵や犯罪界のナポレオンにも匹敵する魔術師だ。藤丸立香と同じ国の生まれだけあって、日本神話に関してはとても強かった。あとは、チェス、将棋とかも強かったな。この私ですら、相手になれなかったほどだ。予定していたサーヴァントはエクストラだったかな」
「私も零士さんに関しては不思議な人物だったと思います。彼はデイビットさんや芥さんとの距離を縮めてる方でした。なにより、物知りでした。外に出ることができなかった私に、故郷の話をしてくれました。Aチームの中でもキリシュタリアさんとよくチェスをしてることが多かったので、余程、参謀的な立ち位置だったのだと思っています。オフェリアさんが零士さんと一緒にいたがるのも今なら、分かります」
私はその時のことを口にしたら、先輩は
「ふぅ~ん、同じ日本人として話し合いたかったな」
「・・・・・・けど、彼らは一癖も二癖もありそうなマスターたちばかりだろう・・・・・・でも、一つだけいえるとしたら、零士くんだ。彼は藤丸立香と同じ経験してる風合いがあった。言うなれば、実戦慣れという奴だ。彼からはそれが僅かに滲み出ていたのがわかる」
実戦慣れですか。まさか、零士さんが魔術師戦をしていたのでしょうか・・・・・・? 今は、彼に聞くことも出来ませんから。凍結処理が終えたら、会えると思います。
だけど、私たちは気づきませんでした。まさか、このあとにあんなことが起きるとは思っていませんでした。
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後書き
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