宇宙海賊は世界最強
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6話
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三人称サイド
優花は香織と雫の部屋に来て、中に入る。
中に入ったら、香織と雫が目を覚まし、起き上がってた。
優花は二人が起きたことにビックリするも、
「香織! 雫!」
優花はドアを閉めて、鍵をしてからそっと声をかける。
「・・・・・・優花?」
「・・・・・・優花ちゃん?」
二人は、しばらくボーと焦点の合わない瞳で周囲を見渡していたのだが、やがて頭が活動を始めたのか見下ろす優花に焦点を合わせ、名前を呼んだ。
「そうよ、香織・・・雫・・・身体は大丈夫?」
目を覚ましたクラスメイトを見て、優花は涙を零す。
身体のことを香織が応える。
「う、うん。平気だよ。ちょっと怠いけど・・・寝てたからだろうし・・・」
「そうね、もう五日も眠っていたのだもの・・・怠くもなるよね」
「五日?」
ここで雫が自分が眠ってた時間を知る。それには香織も同じだった。
「そんなに・・・どうして・・・私、確か迷宮に行って・・・それで・・・」
二人は五日前のことを思い出し、徐々に焦燥に駆られてた。
「それで・・・あ・・・・・・・・・・・・南雲くんは?」
「銀華は・・・・・・・・・・・・どうなったの?」
悲痛な問いに優花は心を痛めるもここは包み隠さず、全てを打ち明けた。
「二人はいない。王国も教会も二人を死んで当然という扱いよ」
「嘘よ・・・・・・」
「嘘なんでしょう・・・・・・優花ちゃん!?」
悲痛な声を漏らす香織と雫に優花は
「本当よ。南雲くんと魁くんはいない。しかも、魁くんに関しては異端者扱い・・・私たちは二人に命を助けられたのよ。それがなんで二人を死んで当然扱いなのよ・・・」
優花の悲痛な思いで語る言葉を聞いて、香織と雫は悲痛な想いをさらけ出した。
優花はメルドさんから聞いたことの全てを話し始める。それを聞いて雫は
「何よ、そんなの彼らのせいじゃない!! それだったら、銀華が海賊だけで異端者になることだってなかったはずよ!!」
「雫は・・・彼が海賊だってことを知っていたの?」
優花は彼が海賊だってことを知ってたことに唖然としてる。
「天職だけよ。私が知ってることは・・・」
「そうなの。それとここに向かう途中、魁くんの部屋に訪れたんだけど・・・」
優花は香織と雫に手紙と三つの何かしらのインカムを見せる。
二人はそれを見るも、インカムについてはわからない。手紙の方は雫宛で優花は雫に手紙を渡す。
雫は折りたたんでいた手紙を開いて、内容を読む。
香織と優花も横から覗き込む感じで内容を読む。
手紙にはこう書かれていた。
『この手紙を読んでるということは、俺はここにいないということだろう。ここに書いてあることは俺が知りうる限りの情報を記そう。まず、一つ目に俺の天職についてだ。知っての通り、俺は海賊の船長だ。しかも、世界的有名な大海賊団の船長だ。これだけは先に伝えておく。それと、この星には縄張りにしようとしてる海賊団がある。其奴らに会ったら、とにかく、逃げろ。今のお前たちでは絶対に勝てない相手だ。二つ目、この手紙と一緒に何も書かれていない紙があるはずだ。その紙の名は『ビブルカード』。別名を『命の紙』ともいって、持ち主のいる方角と生命力を示す紙だ。それをなくさず持ってること』
一枚目だけでも、とんでもないことが書いてあった。
一枚目を読んだ三人は
「凄いことが書いてあるわね」
「魁くんも海賊団の船長だったんだ」
「優しそうなのに・・・」
雫、香織、優花の順に言葉を漏らす。
ついでに無地で白紙の紙を見る。
「これが、『ビブルカード』・・・?」
「ただの紙じゃない」
「とりあえず、此は私、香織、優花だけが持っていましょう」
雫の言葉で頷く香織と優花。
紙を三等分に破って、三人が大事に持つことにした。
だけど、手紙には続きがあった。
続きがあったので、香織、雫、優花は読むのを再開する。
『次のことだが、俺が海賊だってことをクラスの皆が知ったら、おそらく、あの天之河が俺のことを仲間じゃないと口走るだろう。それに皆が賛同するはずだ。そこに王国と教会が関わってくると思うが、奴らを信用するな。奴らはいらぬものを淘汰する世界を目指してる。そこには、自由と幸せというのは存在しない。今の地球でも海賊は悪と考えてるあのバカのご都合主義の塊だったら、俺を悪人と視るはずだ。だが、他の奴らは違う。もし、危機的な状況で俺に助けられたら、一部の者たちは戦争参加への反対の声が上がるはずだ。何故か、わかるか? それはお前たちが自分で考えず、戦争のことを理解せず、強い力を得たことへの優越感に浸ってたからだ。だが、そこには考えなしの行動によって窮地に立たされる可能性が高いからだ。あのバカに付き従うのは止めた方がいい。大した器もなく、カリスマだけの男についていかず、自分が信じた道を進め』
二枚目にはそう書いてあった。
内容には光輝のことを銀華は《《あのバカ》》と書いてあった。
此には、香織と雫もアハハッと苦笑いを浮かべる。
だが、銀華はこの先に起きることを分かっていて、手紙を書き残していた。
二枚目の内容は与えられた物で満足せず、自分の力で目的を成し遂げろと伝えてる。
それを読んで、優花は
「私はもう・・・戦争に参加したくない・・・」
「優花ちゃん・・・」
優花が言ったことに香織は心配な表情になる。
「そうね。私も・・・戦争には参加したくないけど、私には目的がある」
「魁くんを探すことだね」
香織は雫の目的を言い当てる。
「ええ、今は銀華を探さないといけないわ。このカードも『オルクス大迷宮』の方向を指してるわ。今も彼は奈落の底にいることになるわ」
雫は三等分にしたビブルカードを勝手に進みゆく方向から『オルクス大迷宮』にいることが判明してる。
「ねえ、私・・・思うんだけど・・・」
優花は手紙を読んで思ったことを口にする。
「魁くんって・・・意外と頭がキレるよね?」
問うと
「確かにそうかも・・・」
香織は賛同するも雫は
「銀華は頭がキレるけど、破天荒で自由な男よ。バイトする前まで後先考えずに喧嘩とかしてるし。危険なことでも平気で首を突っ込んだから」
意外と銀華のことをよく視てる発言だった。
「雫って・・・意外と銀華のことをよく視てるよね・・・」
優花は指摘するも
「でも、そんな彼が嫌いになれないのよね」
雫は頬を朱に染め、ときめかせる。
香織と優花はそんな雫に
「雫ちゃんが乙女になっちゃってる」
「魁くん・・・雫をここまでさせたんだから死ぬことはないけど・・・戻ってきなさいよ!!」
「ちょっと!? 私が銀華を好きみたいに聞こえるけど!?」
「え? 好きじゃないの?」
香織の天然な発言にえっとなる雫。
「むしろ、雫って自分に素直になれないよね。いっつも、天之河の苦労ばっかりを背負い込んでるから」
「う、うぅ~、言い得て妙だから・・・言い返せない」
ここで雫は優花に指摘されて項垂れてしまう。
「だけど、雫だったら、魁くんと付き合っても良いと思うんだけどなぁ~」
「だから、何を言ってるのよ!?」
「私もお似合いだと思うけど?」
続けざまに香織の天然な発言に雫は顔真っ赤に染めるのだった。
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香織と雫が目を覚ましたのを知ったのは翌日のことで――。
そこで、檜山が皆の前で土下座して謝り始める。
皆、すぐに分かったが・・・。香織と雫にとって、そんなのはどうでも良かった。
光輝の質問は風球についてのことを聞いてくるも檜山柱ないの一点張りだった。
そこで光輝が深く考えた後、結論づけたのは――、
「やっぱり、魁なのか・・・犯人は・・・」
突拍子のない発言に全員が凍りついた。
彼の発言に正気か? と疑い始める中、雫が問い詰める。
「それはどういう意味よ!?」
「雫、キミは寝てたから知らないけど、魁は俺たちにステータスを隠し、魔力操作なんてものを使えたんだ!!」
問い詰めても光輝は止まらない。彼は魁の天職とステータスを洗いざらい話した。
皆の反応も当然、驚きだった。
「なんだよ・・・それ」
「魔物と同じ力が使えるなんておかしくない?」
「しかも、海賊なんて・・・とんだ悪人ね。私たちの前で善人ぶってたんだ」
彼のことで不穏な空気になっていき、ありもしない憶測が飛び交った。
「もしかしたら、魁は魔人族と手を結んでいたんじゃないか?」
「光輝!? ありもしないことを言わないでよ!?」
「雫・・・魁のことを庇いたいのはわかるが・・・」
「あんたに銀華の何が分かるのよ!!」
叱咤をする雫。だけど、光輝はありもしない憶測を口にしていき、そこに檜山たちも賛同する。
ここで、銀華のことを悪人として見始めてる。
「そんなはずがない!」
ここで声をあげたのは優花だった。
「園部くんが魁を庇いたいのはわかるが、だけど、此は現実なんだ! 現実から目を背けても・・・」
「憶測だけで、彼を悪人と決めつける方もおかしいよ。海賊にだって、考えや主張が違うはずよ。全てを一括りにするのはおかしすぎる。それに本当に彼が悪人だったら、あの時、あの場で私たちを見殺していたはずよ!」
「優花ちゃんの言う通りだよ。あの時、私たちは恐怖で身体が動けなかった。でも、魁くんだけは恐怖に怯えずに私たちを助けてくれたんだよ!」
香織も優花の意見に同意する。
だが、香織の言ったこともまた事実。パニックになっていながらも銀華は活路を見出すために敵を薙ぎ払い続けた。
そして、確実に生還するために、南雲と一緒に『ベヒモス』にも立ち向かい斬り裂いた。
助けられたのに、彼を悪人と断ずるのは虫が良すぎる。
香織と優花の言葉を聞き、光輝の言葉に惑わされてた皆も頷く。
「だが、それは俺たちを騙すため・・・」
「後先の考えず、単純明快な彼がそんなことを考えるはずがないでしょう!」
雫は銀華が人を騙すことができる人間ではないことを知ってる。
ここで、優花はとんでもないことを口にする。
「こんなことだったら、戦争なんか参加しなければ良かった!」
この発言がクラス内に亀裂を入れる。
優花の発言に呼応して賛同する生徒たち。
ほとんどの皆が光輝がいれば、大丈夫だろうと過信し高をくくった。
その所為で、戦争のことを理解せず、強い力を得たことへの優越感に浸ってた。
だが、現実は違う。
軽率な行動が窮地の危機を招いて、パニックを起こし、命を助けられた人物を自分たちは見頃しにした。
考えなしに付き従ったからあのような事態を起こした。自分らが行動が軽率だったことを実感する。
優花の発言に対して、流石に香織と雫も言いすぎじゃないと内心、苦笑いを浮かべる。
だけど、二人も戦争には参加したくないという気持ちがあった。
光輝と優花。双方、お互いに退かない討論になり、それに助長する皆。
一触即発になりそうなところで雫と騒ぎを聞きつけ、駆けつける愛子先生が止めに入る。
だが、この時をきっかけにクラスないで亀裂が入った。
戦争に賛成派と反対派。そして、どっちにもつかない中立派の三つに分かれた。
賛成派は光輝を主軸に龍太郎と檜山ら南雲を虐めてた奴らが集う。
反対派は優花を主軸に戦争反対の考えと意志を持つ生徒たちが集う。
中立派は香織と雫が主軸で鈴や恵里、永山たちが集う。
香織と雫としてはやり過ぎ感がある問いまでも思ってる。
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