| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

宇宙海賊は世界最強

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

7話

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 銀華サイド

 どれほどの時が経過したことだろう。

 とりあえず、携帯食でなんとかなってるけども、流石にこのままだったら、助かることもないだろうな。

 南雲に至ってはブツブツとなにか言い始めてるぞ。

「どうして、僕がこんな目に遭うんだよ・・・」

 ブツブツブツブツ愚痴ってる。

 全く、グチグチ言ってるんじゃねぇよ。

「南雲、どうしたんだ?」

 俺は仕方なく、彼に話しかけると彼は

「どうして、僕がこんな目に遭わないといけないんだ・・・どうして、僕が奈落に落ちないといけないんだよ」

 卑屈になっていやがる。

 このままだと深い闇に入っていって、取り返しのつかないことになるな。

 なので、俺はポカッと南雲の頭をドつく。

「いてぇ!?」

「なに、グチグチしてるんだ、男だろう?」

「でも、皆は僕とキミを見捨てたんだよ・・・」

「ごっこ遊びをしてる彼奴らに仲間っていうのが存在するのかね・・・保身に走り、ケジメもつけられず、有耶無耶にする奴ら、気紛れや自分の欲望のためにやるような奴らはこの先信用できない。今、俺たちが立ってるのは戦争だ。餓鬼のごっこ遊びなんかじゃねぇんだよ!!」

「・・・・・・」

 南雲は無言で俺の話を聞く。

「まあ、()と違って、今まで地球にいたお前らにいきなり、戦争に参加させようという教会の奴らの考えも間違ってるがな・・・この星いや世界では強くなって駆け上がっていかないと死ぬしかねぇんだ。前に進むか死ぬか・・・そんなの誰が決めた? 自分で決めたことだ!」

「自分で・・・決めたこと・・・」

「俺は前に進むぜ! こんな所で立ち止まってるわけにはいかねぇんだ!! 南雲・・・お前はどうする?」

 俺は南雲に聞いてみる。前に進むか死ぬのかを・・・

「僕は・・・」

 ここで、彼は自分で自分の道を決める。

「こんな所で死ぬわけにはいかない。生きて、必ず、地球に帰るんだ!!」

 その応えを聞いて、俺は

「それだったら、こんな所からさっさと出るぞ。生きて、目的を果たさないとな」

「アア!!」

 元気を取り戻した南雲。

 ふと、俺は壁際に目を向ける。

 何だ? この壁の中にもの凄ぇ魔力が感じるな。

「どうしたの、魁くん?」

 南雲も俺に話しかけてくる。

「南雲。この壁を錬成してみてくれ」

 俺が指さした方に南雲は

「うん、分かった」

 壁に手を当てて、

「錬成!」

 錬成。つまり、壁を掘り続ける。

 壁を掘り続けてるとチョロチョロと壁から水滴がこぼれ落ちてくる。

 それを南雲が手にとって舐める。

「凄い! この水を飲んだら、魔力が回復しちゃった!!」

「マジか!? だったら、掘り進めるぞ!!」

「うん」

 俺の指示を聞いて、南雲の錬成をし続ける。

 錬成し続けていくと水の流れる量が多くなり、最終的に水源が発見した。

「こ・・・れは・・・」

「スゲぇ~」

 そこにはバスケットボールぐらいの大きさの青白く発光する鉱石があった。

 その鉱石は、周りの石壁に同化するように埋まっており下方へ向けて水滴を滴らせている。神秘的で美しい石だ。アクアマリンの青をもっと濃くして発光させた感じが一番しっくりくる表現だろう。

 なんて綺麗な鉱石なんだ。とりあえず――、

「回収するぞ!!」

「おう!!」

 俺と南雲は鉱石と滲み出てる水を確保することにした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 三人称サイド

 銀華とハジメが見つけた鉱石は『神結晶』と呼ばれる歴史上でも最大級の秘宝で、既に遺失物と認識されている伝説の鉱物だったりする。

 神結晶は、大地に流れる魔力が、千年という長い時をかけて偶然できた魔力溜りにより、その魔力そのものが結晶化したものだ。直径三十センチから四十センチ位の大きさで、結晶化した後、更に数百年もの時間をかけて内包する魔力が飽和状態になると、液体となって溢れ出す。

 その液体を『神水』と呼び、これを飲んだ者はどんな怪我も病も治るという。欠損部位を再生するような力はないが、飲み続ける限り寿命が尽きないと言われており、そのため不死の霊薬とも言われている。

 それを回収した銀華とハジメは

「よし。とりあえず、魔法の水は確保した。後は食い物だ。とりあえず、残ってる携帯食でも脱出するまで持つとは思えねぇから・・・」

「思えないから・・・」

 ハジメは銀華の片言もなく聞く。

「魔物を食って生き残るぞ!」

「え?」

 この時、ハジメは正気かという顔をしてから

「えぇエエエエエエエエエエエ――――――――ッ!!!!!!」

 ハジメのバカでかい叫び声が空洞を超えて、周囲に轟かせた。

 その声で魔物たちがざわめいたとも知らずに――。



 ハジメの叫びに銀華は

「何を今更、生き残るためには、駆け上がらないといけないんだぞ。魔物だろうと何だろうとぶっ飛ばしていかないと強くなれないぞ。サバイバル世界にいるんだ。優しいだけじゃあ生き残れないぞ」

「うん、そうだね。ごめん・・・」

「なら良いけど・・・それよりも、ここに向かってきてる魔物共をなんとかするぞ」

「え?」

 ハジメは銀華の言葉を鵜呑みして、出入口を視る。

 そこにはウサギなり狼なり熊なりがわんさかと跋扈してた。

 銀華は眼を閉じて、奴らの力量と周辺の魔物を見る。

「夥しいほどの魔物の数だな・・・今の南雲では勝てない魔物がざっと20体。此だとオチオチと眠れねぇぞ」

「なんで、そんなことがわかるの?」

 ハジメはそれを聞いてくるも

「それについては後で説明するとして、今は目の前のことに集中しろ」

 銀華の言葉でハジメはハッとなり、どうしようと慌てる。

 なので、俺は短剣と『悪魔の実』を放り投げる。

「武器と()を与えるから。後は自分でなんとかしなよ。生きたいのだったら・・・死に物狂いがなりな」

 銀華はそれを皮切りに魔物共を倒しに向かう。

 狼とウサギの群れがハジメに襲いかかる。

 ハジメはいきなりのことで恐怖が身体を支配する。

 恐怖で身体の言うことがきかない。

 魔物共からしたら、今のハジメは格好の餌食に等しい。

 なので、一斉に襲いかかる。

 ハジメはすぐさま、短剣と『悪魔の実』を回収する。

 ハジメはすぐに短剣を手にとって、襲いかかってくる魔物共に応戦する。

 応戦するもウサギの蹴りで短剣を弾き飛ばされ、ハジメの蹴りの勢いでぶっ飛ばされる。

 壁に衝突し、意識が朦朧してる中、自分が決めたことを曲げたくなかった。

 そんなことで心を失いたくなかった。

 今、彼にあるのは、痛み、怒りや憎悪というものではない。この理不尽な状況、世界から生き残ることである。

 そのために、なにかを削ぎ落とさなければならなかった。

 だが、こんな時でも手を差し伸べてくれる銀華のことを忘れたくない。

 だったら、その恩に報いずに死ぬのは男じゃない。

 そう思い、彼は、銀華から捨てていった果実を見て、

ー死ぬぐらいだったら、此を食って、鬼でも蛇にでもなってやるよ!!ー

 という一心で『悪魔の実』をかじって呑み込む。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 銀華サイド

 俺は自分に襲いかかってくる魔物共を片っ端に斬り殺していく。

 んっ? この気配・・・南雲の奴・・・『悪魔の実』を口にしたな。

 はてさて、どんな能力が得られるのでしょうね。

 俺は南雲がいる方を視る。

 そこで視たのは、焔が燃え上がってるのを視た。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧