恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十八話 呂布、晴れないのことその三
「それで私達はこの世界に来ているのか」
「同時にあんた達の複雑な運命や因縁もね」
「解き放つつもりなのよ」
「何故我々の運命をそうするのだ」
グラントがここで問うのはこのことだった。
「その我等の」
「あんた達がそうした運命に押し潰されるのを望まないからよ」
「だからなのよ」
それでだと話す二人だった。
「その運命を司る存在はね」
「あんた達のことをいつも気にかけているのよ」
「善意か」
カインの眉がぴくりと動いた。そのうえでの今の言葉だった。
「それは善意によってか」
「善意もあるけれど」
「それによってあんた達が為すべきことを謝ることを防いでいるのよ」
それが為だというのだ。
「事情は色々と複雑でね」
「あんた達はそれぞれやらないといけないことがあるの」
「けれど。あんた達の何人かはそれを果すにはね」
「微妙に因果を持ってるから」
それでだ。できないからだというのだ。
「それを変える為にもね」
「こっちの世界に呼ばれているのよ」
「では私は」
カインはだ。その顰めさせた眉で話すのだった。
「力により人が高みを目指す世界を築くことはまさか」
「それもわかると思うわ」
「この世界でね」
「そうなのか」
考える顔になっていた。そのうえでのカインの今の言葉だった。
「私の運命もまた」
「まあ今すぐにわかるものではないさ」
華陀がそのカインに話す。
「そういうのは最後の最後にな」
「わかるものか」
「とりあえずあんた達は俺達と一緒に来てくれるんだな」
華陀がカインに問うのはこのことだった。
「そうしてくれるんだな」
「うむ、それではだ」
「そうさせてもらう」
これが二人の返答だった。
「貴殿等といればだ」
「それがわかるだろうかな」
こんな話をしてだった。そうしてだ。
彼等はその徐州に来たのだった。そのうえでだ。
徐州の牧の城。ここに入ってだ。彼女の前に来たのだった。
「むっ、御主は」
「ああ、久し振りだな」
「何故ここに来たのじゃ?」
「少し来て欲しいところがあるんだ」
華陀はこう彼女に話すのである。
「いいか?」
「何かあるようじゃな」
「ああ、そうだ」
その通りだというのである。
「それでだ。いいか?」
「わかった」
彼女もだ。真剣な顔で頷いた。
「それではのう」
「話はこの国、いや世界に関わっている」
「この世界にじゃな」
「そうだ。だから来てくれるな」
「御主には一度救われている」
だからだと言う彼女だった。
「それではな」
「悪いな。そう言ってくれてな」
「感謝しちゃうわ」
「もう感激よ」
「ううむ、その二人はのう」
彼女はだ。華陀の左右の怪物達にはだ。
顔を曇らせてだ。こう言うのだった。
「どうも慣れぬのう」
「慣れないって?」
「そうなの?」
「うむ、慣れん」
実際にそうだというのである。
「人間なのじゃな?」
「あら嫌ね、こんな奇麗な乙女達を捕まえて」
「あたし達傷ついちゃうわよ」
「傷つくのか?」
彼女にとってもだ。そのこと自体が疑問のことだった。
いぶかしむ目になってだ。彼等、間違っても彼女達ではないその妖怪達を見て言う。
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