恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十八話 呂布、晴れないのことその二
「ただ。病はだ」
「治すか」
「医師として」
「そういうことだ。医術は仁術だ」
これが華陀の持論だった。まさにだ。
「それを果たすだけだ」
「そうよね。ダーリンによって沢山の人が助かってるわよね」
「グラントさんだけじゃなくて」
怪物達はその華陀の横で身体を不気味にくねらせながら話す。
「お蔭で何かね」
「運命が変わった人もいるわね」
「俺の運命もか」
グラントはここで己のことをそれに当てはめて考えた。
「そしてそれで何をするか、か」
「そうなるな。私もまた」
カインもだ。そのグラントと共に話す。
「何を為すのかだな」
「あんた達はこの世界に来たのは偶然じゃない」
華陀は真剣な顔で彼等に述べた。
「必然なんだ」
「運命か」
「それもまた」
「絶対にな。知ってると思うがこっちの世界は戦乱に覆われようとしている」
華陀は今度はこのことを話した。
「そしてそれに対して俺達はだ」
「戦乱の元凶を見つけ出してね」
「やっつけちゃうのよ」
「戦い自体は構わない」
カインはだ。戦いは否定しなかった。
しかしだ。彼はここでこうも言うのだった。
「だが。それは人がより上を目指すべきのものだ」
「それだというのね」
「戦いは」
「そうだ。混沌や破壊の為の戦いは私の望む戦いではない」
カインはその美学も見せた。
「人が極限まで上を目指し、研ぎ澄まされる為のものなのだ」
「あんたの戦いは純粋だな」
華陀はそんなカインの話を聞いて述べた。
「俺の考えとは違うにしてもな」
「違っていてもいいのだな、同志になるのは」
「同志を選ぶのは俺じゃない」
「貴殿ではないのか」
「他の、俺よりも上位の存在だ」
それが何かというとだ。
「運命の神だろうな」
「その運命のか」
「ああ。俺達は運命により導かれて共にいるんだ」
「その運命を変える為に」
「そしてこの世界と。俺達が救われる為にも」
「我々がだというのか」
「俺はそう見ている」
華陀はカインの目を見て話す。確かに鋭い。しかしその目はあくまで純粋だった。その純粋な目を見てだ。そうして彼に話すのだった。
「だから多くの者がこの世界に来ているんだ」
「これは戦いの為でもあるけれどね」
「あたし達と同じくね」
怪物達も話す。
「皆運命なのよ」
「運命に導かれているのよ」
「貴殿等は知っているな」
グラントは二人の話からそのことを察した。
「我々が何故この世界に来たのかを」
「察しの通りよ」
「全部ね」
これが化け物達の返答だった。
「あんた達の世界のよからぬ存在にね」
「あらゆる世界を行き来できる者達がついたのよ」
「それでまとめてこっちの世界に来たのよ」
「自分達の望みを果しにね」
「その為にね」
二人はだ。その事情をカインとグラントに話していく。
「あたし達はそうした存在を監視するのが役目なの」
「言うならばあらゆる並行世界の監視者なの」
それがこの怪物達だというのだ。
「それで、あたし達をそうさせている何かの意志がね」
「あんた達をこっちの世界に連れて来たの」
「そうだったのか」
カインもだ。驚愕を見せる話だった。普段は自信に満ちていて不遜なまでの誇りを見せている顔にだ。僅かだがそれが出ていた。
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