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ドリトル先生の林檎園

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第十幕その十

「違うわ」
「そうなの?」
「お友達でもこういうことしてもらったら」
 それならというのです。
「嬉しいわよ」
「そうなの」
「そう、それにね」
 さらにというのです。
「優花里ちゃん私の為に何度も作り直してくれたのよね」
「そのお話誰から聞いたの?」
「お祖父さんがさっき言ってたわよ」
「ここに来た時に」
「ええ、そのこともね」
 由佳さんにとってはというのです。
「凄く嬉しいわ」
「そうなのね」
「優花里ちゃんは当然のことって言うけれど」
「それは違うのね」
「そうよ」
 それはというのです。
「本当にね」
「ううん、あたしとしては」
「逆にそうしたことを当然と思って言える」 
 そのことがというのです。
「優花里ちゃんのいいところで凄いところよ」
「そうしたものなの」
「とてもね、だから私今凄く嬉しくて」
 それにというのです。
「最高に幸せよ、それに林檎をプレゼントされるって」
「ああ、藤村さんだね」
「優花里ちゃんも知ってるわね」
「知らない筈がないわよ」
 それこそとです、優花里さんは由佳さんに答えました。
「あたし小説はライトノベルばかりで純文学は読まないけれど」
「それも楽しい系のね」
「そういうのばかりでさ」
「藤村さんも読まないわね」
「けれどね」
「長野の人だからね」
 地元だけあってというのです。
「知ってるわよ」
「そうよね」
「林檎のお話も」
「知っていて」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「林檎をあげることは」
「大切な人ってことで」
「本当にね」
「嬉しいのね」
「実際にね」
 こう言うのでした。
「心から」
「藤村さんはね」
 本当にとです、ここで先生も言いました。
「やっぱり長野県ではだよね」
「偉人ですよ」
「郷里の文豪です」
「長野県では誰でも知ってる」
「そんな人です」
「そうだよね、だから優花里さんがしたことは」
 本当にというのです。
「凄くね」
「いいことなんですか」
「大切な人だってことを」
「由佳ちゃんにも知らせたから」
「素晴らしいことをしたよ」
「そうですか」
「そう、だからね」 
 それ故にというのです。 
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