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剣の世界の銃使い

作者:疾輝
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決闘・前

 
前書き
やっと冬休み、これでゆっくりすることができます・・・
では、どうぞ! 

 
「はいよ、全部で三十五コルだ」

俺は今、先日開いたばかりの75層のメイン建造物である大きなコロシアムの入り口で露店を開いていた。

「まいどありー、はい次の人どうぞー」

何故いきなりこんな事をしているかというと、その原因は昨日の夕方にある。シリカと共にホームに戻っている最中に、メッセージが届いたことを知らせるポーンという音が聞こえたのだ。

「どちら様ですか?」

「KOBの経理担当のダイゼンさんからだ」

「内容は?」

「あの人はいつもメッセージ長いんだよな・・・・えっと・・・・」

可視モードにしてシリカにも見えるようにしてから、読み始める。
一応付き合いも長いため、俺はKOBの幹部の何人かともフレンドを登録している。ダイゼンさんはKOBの経理を務めていて、結構話すことも多いのだ。2ページにも渡るメッセージを読み進めていき、簡単に要約するとこういうことだった。
明日クロノとヒースが決闘するから、それを狙ってひと儲けするんだけど、一緒にやらないかい?
という事らしい。
ぜひとも!とすぐにメッセージを返して、その日の内にいろいろ料理を作り、今売っているわけだ。
売っているのは軽食を中心に、軽くつまめるものだ。得意のお菓子系統や、サンドイッチなどを作ってきてある。ちなみにシリカはフレンドとの用事があって別行動だ。
ダイゼンさんが結構いい場所を確保してくれたので、売り上げは好調。在庫がなくなり次第、切り上げることになっているのだが、思いのほか売れ行きはいい。主催側のKOBのメンバーまで買いに来てる人がいるのも不思議だが。

「はい、次ーって、げっ・・・」

さくさくと買いに来る人を捌いていたのだが、目の前に予想外の客がいて若干驚く。

「ようレイト、久しぶりだな」

「お前も来たのか・・・・」

「ああ、こんなことそうそう無いだろうからな。あっちにエギルもいるぜ?」

俺の顔見知り、クラインだった。クラインとは俺が藍椿にいたころからの付き合いで、レナやラウ姉たちとも認識があり、昔から連絡は取り合っている。口は悪いが、根はいい奴だ。裏切りがないとは言えないMMOの中で、俺が間違えなく確実に信用できると断言できるプレイヤーの一人だ。

「で?レナちゃんはいないのか?」

「はぁ、あいつはいないっつーの。藍椿解散してから、必要な時だけしか会わなくなったし」

「あー・・・その、スマン・・・・」

クラインも藍椿が解散した、というよりラウ姉とリオンさんが死んだのを知っている。全く、俺らはもう気にしてないって言ってるのに。

「いいって。あ、そうだ。お前ら、もう入場チケット買ったか?」

「は・・・?いや、まだだが」

それは好都合。早速クラインにトレードを持ちかける。

「おい、これ!?最前列の入場チケットじゃねえか!?」

「結構KOBとは付き合い長いから、ぜひにって貰ったんだが、何枚か余ってな」

ついさっきKOB本部に顔を見せたら、ダイゼンさんがくれた。断るのもなんなので一応貰っといたのだが、複数枚あり、残りをどうしようか迷っていたのだ。

「いいのか?」

「ああ。俺がタダでやるって言ってんだから、貰っとけ」

「それじゃ、ありがたく頂いとくぜ」

エギルの分も付けてクラインに送っとく。また後で会うことを約束して、クラインは戻っていった。さて、とっとと売り切りますかね。
その後も順調に売り捌いていき、最後の一品というところまで終わった。あと一人来たら切り上げようと思っていると、ひとりのプレイヤーが走り込んできた。

「まだ、ありますかーー!?」

「全く運はいいよな、お前は。お前でラストだよ」

「おお、危なかったー。先輩の料理がなくなるところだった・・・」

先ほども話していた、レナである。残った品物をレナに売りつける。総利益を確認してから、ダイゼンさんのところに向かおうとしたのだが、いろいろ忙しそうだったのを思い出した。今日のメインイベントが終わったらでいいかと考えなおして、目の前のレナと話すことにする。てか、なんでいるんだよ?

「さて、先輩の料理は買えたし、これからどうしましょうか」

おい、俺の商品を買うだけにここまで来たのかよ。

「そんなとこですねー、先輩は今日はシリカちゃんとは一緒じゃないんですか?」

「見ての通り、別行動だよ。どうせだから、お前も見てけ。入場券余ってるから」

「おおー、私の分も買っといてくれたんですね。さすが先輩です」

これ以上反論しても、またのらりくらりと避けられるだけなので無視する。余っていた最後のチケットをレナに渡してコロシアムの中に入る。
まだ始まる前だというのに、中は熱気と歓声であふれていた。ほとんどのプレイヤーが何人かでグループを作って話し込んでいる。

「てか、なんでこんなところにいるんだ?お前興味ないだろ、こういうの」

「そりゃ、先輩の料理なんてそうそうありつけませんから。私の知り合いで料理スキルマスターしているのって、先輩とアスナしかいませんし」

「それもそうだが、なんで俺が今日ここで露店開いてること知ったんだ?」

「私の情報もう甘く見ないでください!」

顔が広いうえに話し上手。さらに店を経営してるだけあって、こいつの情報網は確かに広い。そういうところもあって、ラウ姉にスカウトされたんだろうが・・・。

「ん?どうかしました?」

「いや、噂関係はお前使えば情報屋いらないんじゃないかなーと思っただけだ」

「それこそ、マップデータなら先輩の方が情報屋より上じゃないですか」

それもそうだったな。今度この層もマッピングしないとな・・・。

「あ、そうだ。今度、私もミラージュスフィア取ろうと思ってるんで、先輩のデータ貰えません?」

「ま、悪用しなけりゃ別にいいぞ。にしても、なぜ今頃?」

いつもマップデータが必要なときは、すぐに俺のところに来てたのだが。

「店の模様替えでもしようかと思ってまして。ミラージュスフィアの立体映像を使おうかと」

「なるほどな、フローリアとかの雰囲気いい層の立体映像を使うのか。となると、複数個必要じゃないか?」

「だから、お手伝いしてもらえないかなーなんて」

「暇だったらな」

そうこうしている内に、最前列の指定席に着いた。

「待たせたな」

「お、レイトか。今日はありがとな」

「気にすんな、ほんと処分に困ってたし」

近くにいたエギルの方に話しかける。レナはクラインを見つけて話に行った。チケットは売り捌こうかまで思ったほどだし、別に痛くも痒くもない。ダイゼンさんの好意を損ねるから絶対やらないけど。

「いつ始まるんだ?結構時間ぎりぎりだったと思ったんだが」

「もう時間だぜ」

そういった直後、開始を告げるアナウンスが流れる。それと同時に歓声がさらに増し、いっそう周りが五月蠅くなる。

「お、出てきたか」

先に出てきたのはキリト。いつもの黒づくめの格好をしている。違う点は、双剣を背中に吊っていること。闘技場の中央に向かって歩いてくる。

「斬れー!」

「殺せー!」

「別に圏内だから、殺すことはできないと思うんだが・・・」

「ノリ悪いですねぇ、先輩」

エギルやクラインが立ち上がって物騒なことを言ってるのを傍目に、俺とレナは座って雑談していた。こういう時に気持ちが高ぶるってのは分かるんだが、あんまり自分もやろうとは思えない。

「実際、どっち勝つと思う?」

「んー、私はどっちも実力分からないので、なんとも。先輩は?」

「俺はヒースに一票」

「えー、こういうのって付き合い長い方応援するもんじゃないんですかー」

「付き合い長い方でいえば、俺はやっぱりヒースなんだが」

付き合いの深さでいえば、どっちもどっちだが。
キリトが闘技場の中央まで着くと、今度は逆の控室から深紅の人影が現れる。聖騎士ヒースクリフ、ギルドメンバーのKOBの制服とは正反対の色合いの防具を纏い、一対の盾と剣を持って歩いてくる。その歩き方は堂々としたもので、キリトとは違い、全く緊張の様子を窺わせない。
まさに最強の矛と最強の盾の激突。このSAOではどっちが勝つのやら。

「かの有名なゲームのオーディンとアレキサンダーでは、矛が勝ちましたけどね」

「でも盾の方を召喚してたプレイヤーが死んだだけで、盾自体は死ななかったらしいぜ?」

MMOの中で、別なMMOの話をすることになるとは、皮肉だな・・・。ちなみに、俺は盾の方が好きだったが。

「私は矛派ですね。守ってても勝ちは訪れないじゃないですか」

「レナもあのゲームやってたのか」

「私もあっちではネトゲ廃人に近かったですし。じゃなきゃSAOなんて手に入りませんよ」

それもそうだ。そう考えると、SAOのプレイヤーってほとんどの人がネトゲ廃人なのか?シリカやアスナさんとかは、性格的にそんな感じがしない。今度聞けるようだったら聞いてみるか。
今後二度と見られないであろう決戦の前だというのに、俺らはまだとりとめもない雑談を続けていた。  
 

 
後書き
疾輝「ヴァイスのSAOのTD出たね」

レイト「だな、中身はどうだった?」

疾輝「一応サイン入りを一枚。上々の成果かな」

レイト「へー、それはよかったな」

疾輝「にしても、《攻略組》アスナ強すぎるでしょ・・」

レイト「レベル1でも十分2・3と打ち合える強さ、さすがアスナさん」

疾輝「ブースターにも強いカードが入ってることを祈ってるよ」

レイト「さてなぁ、そこはどうなる事やら」
 
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