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ハイスクールD×D ~聖人少女と腐った蛇と一途な赤龍帝~

作者:enagon
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第3章 さらば聖剣泥棒コカビエル
  第44話 掻き乱される日常




 皆さんおはようございます。兵藤一誠です。

 いきなりだけど俺は今未曾有の危機に瀕している。どういうことかって? 順を追って説明しよう。

 いつも俺は目覚ましをかけずに寝ている。理由は簡単、毎朝俺の幼馴染が俺を起こしてくれるからだ。羨ましいだろ? 起こしてくれる人は日によって変わる。まあ大体来るのはその日の朝食や弁当当番じゃない人なんだよな。だから毎朝必ず台所に立つ黒歌姉なんかはなかなか起こしに来てはくれないんだよ。

 最近ではそれに加えてアーシアやレイナーレも起こしに来てくれる。レイナーレ以外はみんな優しく起こしてくれて毎朝すっきり目がさめるぜ。加えてここ最近ではレイナーレのちょっと突き放したような起こし方も実は照れ隠しなんだって分かってきてからはこれがまた……。

 で、ここで一番重要なのは料理が出来るのに台所に立つ回数が圧倒的に少ない火織が一番高い頻度で起こしに来てくれることなんだよな。火織が起こしてくれた日は1日絶好調に過ごせるんだぜ。好きな人に起こしてもらえるんだから当たり前だけどな!

 さて、ここまで説明したところでそろそろどういう危機が俺に迫っているか説明しようか。火織が起こしに来るかもしれない以上俺は寝る前に部屋を確認しておかしな所がないかチェックする。朝に変なもの見られなくてもいいようにな。例えば火織と特徴のかぶるエロ本とか。で、大丈夫と判断したら翌朝まで誰かが起こしに来るまでぐっすり眠る。でも今日に限っては誰かが起こしに来る前に目が覚めちまった。

 二度寝すればいいんじゃないかって? いやいやそういう訳にはいかないんだよ。俺が起きたのは何やらいい匂いと柔らかい感触がして、あ、誰か起こしに来たのかな? と思ったからなんだ。そして目を開けてみたらびっくり、布団の中に部長とレイナーレがいたんだよ!

 これで何で俺が危機に瀕しているか分かってもらえたかな!? こんなとこ火織に見られるわけにはいかないんだよ! どんな勘違いされることか! しかも最悪なことに何故か2人共全裸なんだよ! その上両側から思いっきり抱きついてこられてて、手は太ももの間に挟まれちまってる! もう今の俺理性と鼻血を我慢するのでいっぱいいっぱいなんだよ!

 誰かが起こしに来る前に脱出したいんだけど抱きつかれてる上、手が挟まれてるから動けねぇし、無理に動いて起こしたら更にややこしいことになっちまう。でもこのままだと起こしにくる誰かにこの光景見られちまうし、それが火織だったら最悪だ!

 そもそも何で2人は俺の布団の中に、しかも全裸でいるんだ!? いや多分忍び込んできたんだろうけど、何で俺の布団なんかに……。いややめよう。そんなの分かりきってる。2人共俺の事好きだからだよな? 最近色々あってこのことにはいろいろ思うことがあるんだが……取り敢えず今は考えないことにしよう。俺の平穏のためにも。まずは兎にも角にも2人に気付かれないようにここから脱出しないと!

「……あら、起きていたの?」

 って早速部長に気付かれた!? っていうかもしかして起きてたのか!?

「え、ええ。で、起きたら起きたでこの状況だったんでもうどうしていいやら……」

「ごめんなさいね。イッセーを抱き枕にして寝たい気分だったのよ。イッセーが寝た後にこっそりお邪魔させてもらったわ」

 くっ、なんでこっそりとなんですか。っていうか話してる場合じゃなかった! 起こしちまったのは仕方ないし、こうなったら誰か来る前に部長には自分の部屋に帰ってもらわないと! なんて思ってたら部長がさらにギュッと俺を抱きしめてきた!? うぉぉぉぉぉ!! 部長のいろんな柔らかいところがぁぁぁぁぁ!!

「どうしようかしら? 起きるまでこのままゆっくりするのもいいし……エッチな事をするのもこの際いいかしらね?」

チュッ。

 部長がまたしてもほっぺにキスしてきた!? っていうかエッチな事って!?

「ぶ、部長! そういうことはこれと決めた人と! っていうかもっと自分を大切にして下さい! それにそういうことは2人っきりの時にするべきではないでしょうか!?」

「……2人っきり?」

 な、何だ? 部長が急に訝しげな表情になったぞ? そのまま部長は少し体を起こし、部長とは反対側の俺の隣を覗きこみ……そのまま表情が固まった。

「……なんでそこにレイナーレがいるのかしら?」

 ひっ!? なんか部長の背後に黒いオーラみたいなものが!?

「い、一緒に忍び込んだんじゃないんですか!?」

「いいえ、知らないわ」

「後から忍び込んだのよ」

 うぇ!? レイナーレも起きてたのか!?

「起こしに来たら部長が裸で添い寝してるんだもの。イッセーの使い魔としてそういう役は譲れないわ」

「……言ってくれるじゃない。イッセーは私の下僕よ。彼は私のものなの。彼の隣で寝ていいのは私だけよ」

「主と下僕なんて身分違いも甚だしいじゃない」

「それを言うなら使い魔のあなたもでしょう? その上あなたは種族すら違うじゃない」

「「……うぅ~」」

 なんだこれ!? なんで朝っぱらから俺の両隣で裸の女の子が喧嘩して睨み合ってるんだ!? っていうか2人とも少しは隠そうよ! 何から何まで全部丸見えだよ! いや下半身の一番大事なところはシーツでかろうじて隠れてるけどさ!?

「「イッセー!」」

「は、はい!」

 な、なんかいきなり矛先が俺に向いた!?

「あなたはどっちと寝たい!?」

「あんたはどっちと寝たいのよ!?」

「えぇ!?」

 何このいきなりな究極の選択!? っていうかどっち選んでも選ばなかった方に殺されるんじゃないか俺!? それに選ぶとしたら火織以外に考えられ……

ギロッ!

 ひぃ!? もしかして考えてることまたしても読まれた!?

「こうして裸の女の子前にして別の女の子のことを考えるなんていい度胸ねイッセー」

「ご主人様? こうして使い魔がご主人様のために体張ってるんですからもう少し私に気を使ってくれてもいいと思いませんか?」

 だ、だからなんで皆俺の考えてることをそんな普通に読むんだ!? っていうか丁寧語で話すレイナーレがめっちゃ怖い! 笑顔がもう天使にしか見えないのに震えが止まらないよ! 堕天使になったのも納得の怖さだ! と、そんな時

コンコン

「イッセーさーん。そろそろ早朝特訓の時間ですよー」

 この声はアーシア! 良かった! っていうことは今日起こしに来てくれるのはアーシアだったのか! 火織じゃなくてよかったぜ。ってあれ? さっきレイナーレも起こしに来たって言ってたよな? じゃあレイナーレが遅いからアーシアも来たってところか?

「イッセーさん? まだ寝てますか?」

 おっといかんいかん。早く返事をしなくっちゃ。んで、さっさと早朝特訓に行っちまえばこの場から逃げられるぜ! 帰ってきた頃には2人の機嫌も治ってるだろ! そう思ってたのもつかの間

「アーシア先輩、お兄ちゃんまだ起きて来ませんか?」

 この声は白音ちゃん?

「あ、白音ちゃん。レイナーレさんがさっき起こしに行ったはずなんですけど降りてこないんです。それにノックしても返事がありませんし……」

「……中からお兄ちゃんの他にレイナーレ先輩と……何故か部長の気配がします」

「えっ!?」

 や、やばい! 部長がいることまでバレた!? って白音ちゃんに隠せるわけ無いか! は、早く2人に服着せないと! と思った所で間に合うはずもなく、バンッ! という音を響かせて乱暴に扉が開かれた。そこには焦った表情のアーシアと……とても不機嫌そうな顔の白音ちゃんが。

「……何してたんですか?」

 あ、明らかに白音ちゃん怒ってる! 白音ちゃんの後ろに般若が見える! すごいね白音ちゃん! 血がつながってなくても立派にそれをおばさんや火織から継承したんだな!

 そんな白音ちゃんと今にも泣きそうになってるアーシアに対して部長とレイナーレはニコッと笑うと

「さあ? 特にこれといったことは何もしてないけど?」

 って言ってレイナーレが俺の腕に抱きついてきた!? う、腕が胸の谷間に! っていうか先月風呂場で遭遇した時よりも若干大きくなってないか!?

 一方部長は

「ええ。主と下僕の親睦を深めていただけよ?」

 と言って俺の首に手を回し、そのままぐいっと引っ張られ……お、俺の顔が部長の胸の谷間に!?

「「「んなっ!?」」」

 他の3人の驚愕の声! でも俺にはそっちに構ってる余裕はない! お、俺の顔一面に部長の柔らかいおっぱいの感触が! しかもすっごいいい匂いが! ここが伝説のおっぱい桃源郷か!? こ、このままじゃ俺の理性が……

「やんっ! い、イッセー、揉むならもう少し優しく……」

 って俺いつの間にかレイナーレに掴まれていない方の手で部長の胸揉んでる!? いったいいつの間に!? 俺の理性はどこ行っちまったんだ!?

「わ、私も脱ぎます! 私だけ仲間はずれなんて嫌です!」

 ってアーシアまで脱ぎだした!?

「むぅ、こうなったら私も……お兄ちゃんは渡しません!」

 白音ちゃんまで!? た、頼むレイナーレ! アーシアと白音ちゃんを止めてくれ! さすがに2人はこういうことはまだ早い! お前もそう思うだろ!? 俺の使い魔なら今だけは俺の言うことを聞いてくれ!

 そう思い俺は必死にレイナーレにアイコンタクトを送るけど

「……ん、あ……あんっ」

 レイナーレが顔真っ赤にして悶えてる!? いったい何が……って俺いつの間にかレイナーレのおっぱいまで揉みしだいてるぅぅぅぅ!? ほんとなんで俺の両手は俺の言うこと聞いてくれないんだ!? 勝手に皆のおっぱい揉みやがってぇぇぇ! 俺はそんな命令してないだろう!!

「わ、私の胸はお二人に比べたら小さいですけど……それでも良かったら……」

 そう言って全裸になったアーシアは部長の胸を揉んでいた俺の左手を掴むと……自分の胸に押し付けた!?

「……ぁぅ」

 おっぱいを揉まれて恥ずかしがるアーシア、こ、これはこれですごい破壊力だ! それにおっぱいの方も大きさこそ部長やレイナーレには劣るものの、柔らかさや質感は2人に全く劣ってなんかいない!

 と、今度は白音ちゃんが最近定位置になりつつある俺の膝の上に、しかも今回はいつもとは逆にこっちを向いて座ってきた!?

「私はおっぱいも体もちっこいですけど……その他は負けませんから」

 そう言いながら白音ちゃんは首筋を舐めてきた! 流石姉妹、やることが黒歌姉と一緒だよ! その上尻尾まで俺の体に巻き巻きしてきた! ぜ、全裸だから分かるけど本当におしりから尻尾が生えてるんだな……。

 と、そんな白音ちゃんがいきなり俺の首筋から顔を離すと顔を赤くして、目を潤ませながら見上げてきた? きゅ、急にどうしたんだ?

「……お兄ちゃんの硬いのが、おしりにあたってます」

 ………………

 ………………………………

 ………………………………………………ぐはっ!

 い、妹みたいな存在になんてもん押し付けちまったんだ俺は!?

「ご、ごめん白音ちゃん! ほ、ほら今は朝だし!」

 ってさすがにこの言い訳は苦しいか!?

「……お、お兄ちゃんがしたいんでしたら……私……」

「な、何言ってんだよ白音ちゃん!?」

 け、決してそんな気持ちがあってそこがそうなってるわけでは……いや少しは思っちゃったかもしれないけど、そ、それでも俺は……!

「お兄ちゃん……」

「イッセーさん……」

「「イッセー……」」

 うあ、み、皆まで……。でも、でも俺は……

『自分のことを愛してくれる女性くらい、全員まとめて幸せにしてみせると言い切るのも、同時にいい男の条件だと思いますよ?』

 な、なんでこんな時に火織の言葉が!? た、確かに俺も皆のこと嫌いじゃないけれど、でもだからって最愛の人を差し置いてこんな……。で、でもこんな顔向けられたら俺……俺……!

「いつまで寝てるのイッセー! もうとっくに早朝特訓のじか……ん……」

 って火織が窓から入ってきたぁぁぁぁぁあああ!? し、しまった、早朝特訓があるんだからもちろん火織は外で待ってただろうに、レイナーレが起こしに来たってことで油断してた!! し、しかも見ようによっては乱交現場みたいになってる現状を見られた!? や、やばい! なんか言わないと誤解され……

「か、火織! これは……わぷっ!?」

 って顔を上げて弁明しようとしたら部長に引っ張られてまたしても顔面から谷間にダイブしちまった!? その上皆までさらにひっついてきたし……まさか俺に言い訳させないつもりか!?

 一方火織は

「慌てなくても大丈夫よイッセー、私はちゃんと分かってるから」

 分かってるってこの状況で何が分かるんだ火織!? そんな火織はニコニコしながら親指をビッと立てて

「イッセー、避妊だけはしっかりね♪ あ、今日の早朝特訓は休みにしてあげるからごゆっくり♪」

「って全然分かってねぇぇぇぇええええ!!」

 俺は引っ付いてた皆を振りほどき笑顔のまま階下に降りていった火織を追いかけた。







「……ぷっ…………ク、クク……ぷはっ……あっはははっ! ごめん、もう無理! あはははは!」

 あの後朝食の席で必死に火織の誤解を解こうとしてると、その火織は急に笑い出した。

「ご、ごめんね。そんなに必死にならなくてもちゃんと分かってるから。別にイッセーから誘ったわけでもないし、結局何もなかったんでしょう?」

「って本当に分かってたのかよ!」

 俺のさっきまでの必死な言い訳は何だったんだ!

「ごめんごめん、あまりにも必死だったからおかしくって。大丈夫よ、そんなことする度胸、イッセーにないことくらい分かってるから。でなきゃとっくに彼女の1人くらいいたでしょうしねぇ」

「うぐっ」

 べ、別に彼女が出来ないのはそれだけが理由じゃ……。はぁ……、いったいいつになったら俺はこいつに告白できるのかな?

「くっ、朝食とお弁当の準備中にそんなことがあったなんて」

「うん、迂闊」

 黒歌姉と龍巳は箸を銜えつつ悔しそうにしていた。っていうかもしあの場にこの2人も突撃してきてたらさすがに俺の理性も保たなかっただろうな。まあ今日も保ってたのかというと微妙なところだが。

「あらあら、イッセーはモテモテね」

「イッセー、男ならちゃんと責任は取るんだぞ」

「ブハッ!?」

 ちょっ!? 皆の前でなんてこと言うんだ父さん!?

「あらまあ、親公認ね。頑張るのよイッセー」

「って母さんまで!? そんなんじゃねぇって!」

 ちょっとホントやめてくれよ! 皆だって顔真っ赤じゃんか! 火織だけはいつも通りニコニコしてるだけだけどさ! ちっくしょう!

 俺は火織の反応に悲しくなって目の前の朝食を掻き込んだ。すると

「あれ? この卵焼き、いつもと味が若干違うような……?」

 母さんの作る卵焼きに似てるけど、でもなんというかそれよりも優しい味というか……。

「あ、気付いたイッセー? それ、アーシアが早起きして作ったのよ」

 と黒歌姉が言ってきた。ってこれアーシアが!? そう思いアーシアの方を向くと期待と不安の混ざった表情で俺のことを見ていた。

「あの……どうですか?」

「ああ、おいしいよ。アーシアは料理がうまいんだな」

「い、いえ。これもひと月練習してようやく食卓に出せたんです」

「ひ、ひと月?」

 そ、そんなに練習してたのか? 全く気付かなかったんだが。っていうか練習してたんならそれも食べさせてくれても良かったのに。

「くっ、さすがねアーシア。もう許可が降りるなんて。私だって長年料理はしてきて自信はあったのにまだ食卓に並べられないのよ」

「私なんて未だにダメ出しばっかりよ」

「きょ、許可? ダメ出し?」

 え、部長とレイナーレが悔しそうにしてるけどこの家って料理するのに許可がいるの? 初耳なんだけど俺。

「ふふん! うちとイッセー宅の食卓に料理を出すには私の許可が必要なのよ!」

「えぇっ!?」

 許可って黒歌姉が出すの!? 確かに黒歌姉は料理が得意でほぼ毎日台所に立ってるし、今では料理研の副部長までやってるけどさ!

「皆で食べる食卓だからね! 下手なもの出させるわけにはいかないわ! 手伝いなんかは別だけど、一から料理作って食卓に並べたいなら私が認めないと! 今のところ自由に料理作っていいのは私を含めて4人だけよ! さながら料理四天王といったところかしらね?」

「そ、そうだったのか。全然知らなかったぜ。じゃあ龍巳や白音ちゃんが良く手伝いはしてても2人の料理って言えるものがないのは……」

「ん、我ら認めて貰ってない」

「料理の練習する時間もそんなに取れませんので早々に諦めました。それに作るよりは黒歌姉様の料理を食べる方が好きですし」

「そ、そうか。黒歌姉の審査基準って結構厳しいんだな」

「厳しいどころじゃないわよ」

「最近練習してはそれ全部自分で食べてるから体重が心配だわ」

「はぅぅ、実は私も」

 な、なんか部長にアーシア、レイナーレが自分のお腹抑えて唸りだした。そ、そんなに作っては食べてを繰り返してるのか?

「あ、あの、味見くらいなら俺がしますから」

 俺は善意でそう言ってみた。まあ雰囲気からしてそうそうまずいものは出してこないだろうし大丈夫だろ。でもなぜか3人は微妙な顔をした。な、なんでだ?

「イッセー、そう言ってくれるのは嬉しいのだけれど……」

「黒歌の料理を食べ慣れてる人に食べさせるのはちょっと、ね……」

「うぅ、イッセーさんの善意が今は憎いですぅ……」

 あ、そういうこと。

「ところで黒歌、さっき料理四天王って言ってたけど、残りの3人って誰なの?」

「3人の内2人はもちろんうちのお母さんとおばさん。で、残りの1人は……火織よ」

「「「「えぇっ!?」」」」

 俺たちは驚き火織の方を向いた。

「火織、あなた料理そんなに上手なの!?」

「あれ? でも俺火織の料理ってそんなに記憶にないんだけど……。台所にもたまにしか立ってないような……?」

「いえまあ料理は人並みにはできますけど。そもそも黒姉に料理教えたのだってお母さんと私ですし。でも私は家事の一環として出来るっていうだけで好きってわけでもないんで普段は料理が好きな黒姉に任せてます」

 そ、そうだったのか。っていうかホント火織の料理って記憶にないぞ!? 確か修行の時にも作ってたと思うけど、あの時はバテバテで料理の味なんて分かんなかったし、台所に立ってもどっちかというといつも黒姉の手伝いって感じだし……

「……食べたいな」

「え? イッセー、私の料理食べたいの?」

 っ!? し、しまった! 俺声に出してた!?

「むぅ~、イッセーは私の料理じゃ不満なわけ?」

「いや黒歌姉、別にそういう訳じゃ……」

 ごめん黒歌姉、別に黒歌姉の料理が嫌だってわけじゃねぇんだけどやっぱり好きな人の料理は格別っていうか……

「う~ん、じゃあ久しぶりに私も腕をふるってみようかな? 明日の朝食とお弁当は私が担当するわ。黒姉のほど美味しいわけじゃないからあんまり期待するんじゃないわよ」

「マジで!?」

 よっしゃ! 明日は火織の手料理、テンション上がってきた! 黒歌姉たちはそんな俺のことを睨んでくるけど……このくらい許してくれ!







 その後俺たちは朝食を食べ終わると一旦各自の部屋に戻り、学校に行く準備を済ませて玄関前に集合したんだけど……

「部長、遅いわね」

「何かあったんでしょうか?」

「まあまだ時間には余裕があるけど……あんまり遅いと遅刻しちゃうにゃ」

「俺見てくるから皆ちょっと待っててくれ」

 そう言って俺が荷物をおいて玄関に走り寄ろうとした時に、ちょうど部長は出てきた。だけど

「部長、どうかした?」

 部長は機嫌が悪そうな顔をしていた。いやさっきまで俺のせいで部長のみならず火織以外皆ちょっと機嫌が悪くなってたんだけど、なんかそれに輪をかけて機嫌が悪いというか……

「皆、今日の部活後の仕事の方はお休みよ」

「お休み?」

「何かあったんですか?」

「さっきグレイフィアから連絡があったわ。私の領内にはぐれ悪魔が侵入しているそうよ」


 
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