デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~
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第四十六話「天央祭・Ⅶ」
前書き
お待たせしました。第四十六話の投稿です。
「これは…、一体どうなっているんだ?」
「あら~、美亜さん。今まで何処にいたんですか?」
「っ!美亜…」
折紙との戦闘を終え天宮スクエアの一号館のステージに入った彼女の目に飛び込んできたのは中にいた人達が無表情で立っている姿とステージに立つ美九。そして何故か取り押さえられている士道の姿があった。
「…美九、先程の音はお前が?」
「ふふ、そうですよ~。…それにしてもやっぱり、精霊だったんですね」
「…気付いていたのか」
途中から気づいてましたよ~、と暢気に美九は言うが肝心の彼女の方は眉をひそめていた。精霊と気付いていたなら自らの洗脳が解けている事も理解していたはず。それなのに何故…?とその問いを見透かしていたかのように美九は目を細めて言う。
「精霊と分かった時は驚きましたけどぉ、美亜さんは私の傍から離れようとしなかったので特別に気付かないふりをしていました」
サービスですよ?と人差し指を口につけし~、の仕草をする美九。その姿は美九の容姿もあり見る者を引き付ける魅力があった。
「…さて、美亜さんは少しそこで見ていてください。士織さんが私の物になる瞬間を」
「っ!や、やめろっ!」
士道は抵抗するが両手を拘束する生徒によって逃げ出すことが出来ないようになっていた。そうこうしている内に美九はゆっくりと近づいてくる。その様子に彼女は美九がまだ士道の正体に気付いていないと分かると同時にここまでだなと考える。
案の定美九は士道のメイド服のスカートの中に手を入れると同時に固まる。
「今の感触…、いや、そんなまさか…」
どうやら美九は漸く士道の正体に気付いたようだ。士道から少し離れナニを握ったであろう右手を閉じたり開いたりしていたがやがて指を鳴らす。
「確認してください!」
美九がそう言うと新たに二人の女子がステージに登ってきて士道の着ているスカートをめくる。そこには色気のないショートパンツがあった。
「お、おい。何をするんだ!やめろぉ!」
士道は今から行われる事に気付き声を張り上げるもその声も空しくショートパンツが降ろされる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
いきなりの事に士道は絶叫を上げ手足をばたつかせる。流石にこれには洗脳された生徒たちも退かざるをおえず手を離す。
解放された士道は急いで下着を履きなおすが時すでに遅く美九はかなり離れたところからこの世の終わりの様な顔をして顔を真っ青にしていた。これには客席から様子を見ていた彼女も美九に同情する。
「しっ、ししししし士織…さん、貴方。お、おおおおおおおおオト、コ…っ!?」
壊れたラジカセの様に呟く美九。美九の目はぐりんぐりんと揺れていく。
「み、美九!落ち着け!俺は…」
士道が落ち着かせようとそう声をかけるも既に遅かった。
「うっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
美九が絶叫を上げ破軍歌姫を発動する。瞬間、彼女以外の全ての人、観客、出演者、司会等関係なく士道へと向かって行く。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「さぁ、後悔しなさい!この私をだました事を…っ!」
怒号と足音に紛れて美九の怒りの声が士道の耳に入る。しかし、士道はそれにいちいち反応できなかった。何故なら中にいた人達全てに追いかけ回されているのだから。
「く…!」
そして呆気なく追い込まれ逃げ場の無くなった士道は一か八かの賭けに出る。そう、美九の元へと走り出したのである。操っている本人を止めれば或いは…、と考えたからである。
しかし、士道の行く手は突然現れた氷によって防がれた。
「氷壁…?」
「まさか…これは…!」
突然の事に彼女は眉を顰めその能力を知っていると思われる士道は目を見開く。
『んー、ふふー。あー危ないなぁ。そんなことしちゃ駄目だよー?』
「お、お姉さまは…、私が…守り、ます」
その声は士道の後ろから聞こえてくるそちらの方に視線を向ければそこには巨大なウサギの人形とそれにまたがる一人の少女の姿があった。
「…【ハーミット】か」
「四糸乃!?何で、お前…」
【ハーミット】。精霊の一人であり一番大人しい精霊とも言われている。その理由は現界の度にASTに襲われては消失するまで逃げ回っているからだ。彼女も見るのは初めてであり観察するように四糸乃を見ている。
一方の士道はまさかの登場に驚いているようだ。士道の表情を見るに既に封印済みなのだろうと言う事が彼女は推察できた。そして四糸乃が何故攻撃してきたのか?四糸乃が言っていた『お姉さま』と言う言葉。これが意味するものに士道は気づいたようで信じられないと言った顔をする。
「まさか、お前…っ!」
士道が無意識に四糸乃へと足を一歩踏み出した。瞬間、士道を物凄い突風が襲った。
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