ある晴れた日に
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699部分:呪わしき美貌その十一
呪わしき美貌その十一
「吉見よ」
「吉見・・・・・・」
「あいつが」
まさにあいつであった。皆心の中ですぐに悟った。
「あいつがやったのかよ」
「けれど何で?」
「そうだよな」
ここで皆眉を顰めさせてそのうえで顔を見合わせるのだった。
「何でここのことを」
「未晴の病室まで」
「見られたのよ」
恵美は話ながら今まで二度程感じたその悪寒について述べた。
「私達と未晴がここにいることを」
「外に出て皆で未晴の相手をしているのを」
「それを」
「あの時二度も悪寒を感じたけれど」
その時を思い出してまた言う恵美だった。
「やっぱり見られていたのね」
「それで何で」
「未晴の場所がわかったのは」
「中に忍び込んで徹底的に調べたのよ」
恵美は今度は推理した。吉見はそうしたというのである。
「それで未晴の居場所を見つけて」
「後は私達の友達って言って」
「それで連れ出して」
「そうしたのよ」
こう予想を立てる。そしてそれは間違いではなかった。
その証拠に今未晴はいない。それが何よりの証拠だった。
皆そこまで頭の中に入れてそれぞれ確かめてからだ。あらためて言うのだった。
「今未晴は外に出されたんじゃなくて」
「あいつの部屋に」
「そしてまた」
「行くぞ」
正道は迷わなかった。確信していたからである。
「あいつの部屋にだ」
「行くのかよ」
「そこに」
「未晴を取り戻す」
今度は一言だった。
「あいつからだ」
「わかったわ」
「それだったら」
「今から行こう」
「あいつの部屋に」
それで皆足を出そうとする。しかしここで、であった。
ふとであった。竹山が言ってきたのである。
「待って」
「えっ!?」
「何かあるの?」
「一つやることがあるよ」
ここでこう言ってきたのである。
「一つね」
「やること?」
「やることって?」
「警察を呼ばないと」
警察を話に出して来たのです。ここでだ。
「それもね」
「警察を?」
「警察は駄目だろ」
「ねえ」
皆今回は警察をあてにはしていなかった。しかも全くである。
「それはね」
「今まで捕まえられなかったんだぜ」
「それで何でなのよ」
「捕まえられなかったのは証拠がなかったからだよ」
しかし竹山は落ち着いた言葉でその彼等に話すのだった。
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