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ある晴れた日に

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698部分:呪わしき美貌その十


呪わしき美貌その十

「未晴のお母さんが連れ出すなんて」
「いつも私達に任せてくれるのに」
「そうよね」
 こう言っているとであった。その未晴の母である晴美が部屋に入って来た。そうして穏やかな笑顔を向けてから彼等に言ってきたのである。
「あら、今日は早いわね」
「あっ、こんにちは」
「お邪魔してます」
 こう彼等に告げる彼等だった。
「今から未晴を外に出してくれるのね。いつも有り難うね」
「えっ、今からって」
「あの、お母さんが」
「そうしてくれたじゃないんですか?」
 彼等は彼女のその言葉を聞いてであった。まずは目をしばたかせることになった。
 そしてそのうえで。彼女にさらに言うのだった。
「未晴を外に」
「違うんですか?」
「えっ、それはないけれど」
 しかし晴美もまたきょとんとした顔になって返してきた。
「私は今来たばかりだし」
「どういうこと?」
「これってよ」
「一体」
 皆それを聞いてまた顔を見合わせた。そのうえで、であった。
 狐につままれた顔になってしまった。周囲を見回すと。
 正道が最初に気付いた。
「車椅子がないな」
「未晴の車椅子が」
「外に出た?」
「まだ暖かい」
 正道は今度は未晴のベッドの中を触った。シーツは乱れているが色は奇麗なままである。よく替えられ洗濯されていることがよくわかる。
「これはつまり」
「まだ外に出て時間が経ってない!?」
「それなら何処に?」
「お医者さんに聞いてみよう」
 加山がここで言った。
「ここはね」
「お医者さんに?」
「そうするの」
「そう、それが一番わかりやすいよ」
 そうしてはどうかというのである。
「出入り口のカウンターでね」
「そこで出入りをチェックしてるからか」
「それで」
「うん、すぐに行こう」
 こう言ってであった。皆を病院の出入り口のカウンターに向かう。そのうえで受付の病院スタッフに話を聞くとである。思いも寄らぬ返事が返って来た。
「えっ!?誰が」
「誰が未晴を」
「先程お友達の方が」
 その受付の人は誰かが連れて行ったと話すのだった。
「連れて行かれましたけれど」
「そんな、じゃあ一体誰なんだ?」
「私達以外に未晴のこと知ってるっていったら」
「生徒達は俺達だけなのに」
「それに」
 ここで自分達以外の人間についても頭の中でチェックされた。
「先生達も御家族の人達も」
「特にこれといって何もしないのに」
「本当に誰が」
「まさか」
 ここで気付いた様に声をあげたのは恵美だった。
「あいつが」
「あいつがって?」
「安橋、心当たりがあるのかよ」
「ええ、あるわ」
 あると一同に答える。狐につままれた顔になっている彼等にだ。
 
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