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ある晴れた日に

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694部分:呪わしき美貌その六


呪わしき美貌その六

「是非な」
「そうしてね」
「あとは」
 さらに言うのだった。
「皆プレゼント持って来るからね」
「それも楽しみしておいてくれよ」
「クリスマスな」
 未晴の心に届いているとわかっているからこそ。言っていくのだった。そうして何としても彼女に見て欲しかった。流石にそれは無理だとしてもだ。
 それで声をかけていく。その間にツリーは次々と飾られていく。
「綿はここでな」
「青い玉はここね」
「お星様はここだな」
「それで」
「靴下はそこで」
「灯りも」
 皆それぞれ動きながら飾っていく。その間もしきりに未晴を見る。
 しかし彼女は変わらない。やはり反応がなく座っているだけであった。
 ベッドの中の彼女は身動き一つしなかった。しかしそれでもだった。
 皆希望を失わない顔で彼女を見て。笑顔で声をかけるのであった。
「もうすぐだからね」
「ツリーできるから」
「許可は貰ってるから」
 こう口々に話をしていくのだった。
「それで見えるからね、いつも」
「未晴ツリー好きだったよね」
「好きなだけ見られるからな」
 そんな話をしているうちにツリーが完成した。様々な色の光と飾りで実に美しい。その美しさを見ながらそのうえで見ているのであった。
「このツリーならな」
「そうよね」
「竹林も喜んでくれるな」
「きっとね」
「それにだ」
 ここで正道が言った。
「皆がプレゼントを贈ってくれる」
「ああ、それもあるからな」
「未晴の為のプレゼントがね」
 皆の顔が真剣なものになる。
「それだったら絶対に」
「届くから」
 皆そのことを信じていた。そうして未晴の前に集まってである。
 正道がギターを手に取り。ゆっくりと曲を奏ではじめた。
 その曲を聴きながらだ。静華が彼に問うてきた。
「ねえ」
「何だ?」
「クリスマスよね」
 その話をするのである。
「クリスマスだったら」
「曲か」
「そうよ、曲よ」
 やはりその話だった。
「曲はどうなってるの?」
「クリスマスソングはもう作ってある」
 静華の言いたいことはもう把握していた。
「既にだ」
「そうなの」
「忘れる筈がない」
 彼は静かに答えた。
「こいつに贈る為にだ」
「それを聞いて安心したわ」
 静華はここまで話して実際に安心した微笑を浮かべていた。
「その曲は」
「クリスマスに歌う」
 そうするというのである。
「その時にだ」
「じゃあそれまではなのね」
「悪いが内緒だ」
 こう言うだけだった。
「それでいいな」
「俺達が聴く曲じゃないからな」
「それはね」
 皆もこのことには納得した顔で頷く。
「竹林の為だからな」
「それはね」
「わかったわ」
 皆反論はしない。今は彼がここで奏でる曲を聴くだけだ。
 
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