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ある晴れた日に

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616部分:やがて来る自由の日その六


やがて来る自由の日その六

「皆でな」
「ああ」
 その彼等に対して静かに答えた牧村だった。
「頼む」
「頼まれなくても言ってやるよ」
 春華は実際にそのつもりだった。
「何があってもな」
「そうよ、もう決めたから」
 奈々瀬も迷いを消していた。
「絶対にね」
「今度の日曜よ、未晴」
「楽しみにしてて」
 静華と咲が未晴のところに来て声をかける。
「皆来るからね」
「お花とか一杯見てね」
「こうした気持ちが大事なのよ」
 恵美はまた静かに呟いた。
「それがきっと大きなものになるから」
「していく」
 正道は『なる』のではなく『していく』と考えていたのだ。
「そうしてだ」
「だからいいな」
「今度の日曜日ね」
 皆そう決めたのだった。そしてその日の夜。江夏先生と田淵先生は白鯨にいた。そこの席で向かい合ってすわ飲みながら話をしていた。
「あの子達だけれど」
「ええ、そうですね」
 田淵先生が江夏先生の言葉に応える。
「自分達で道を見つけたみたいですね」
「そうね」
 先生達もそのことに気付いたのである。
「私が思ったよりもね」
「立派に」
「本当に立派よ」
 レモンチューハイを見ながらの言葉だ。田淵先生はカルピスチューハイを飲んでいる。皿の上には烏賊の姿焼きや生の蛸の刺身が置かれている。そうしたものを飲み食いしながらそのうえであれこれと話をしているのである。そうしてなのである。
「私達もどうしていいかわからのかったのに」
「そうですね。それで戸惑ってたのに」
「それでだけれど」
 江夏先生が微笑みながら言ってきた。
「私達はね」
「はい」
「私達のできることをしましょう」
 それをしようというのだ。
「私達がね」
「お見舞いとそして」
「学校でのことをね」
 それもだというのだ。
「私達が全部やって」
「そうですね。けれどあの子達のことは」
「一切干渉しないでおきましょう」
 それはしないと。江夏先生は断言した。
「見守るだけでね」
「見守るだけですね」
「そうよ。見守るだけよ」
 あくまでそうするだけだというのだ。
「それでいいわね」
「はい、私もそれでいいと思います」
 田淵先生もそれは同じなのだった。
「それで」
「そうね。それでだけれど」
 江夏先生はさらに言う。
「問題があるのは」
「問題は?」
「竹林さんをああいうふうにした相手よ」
 その相手の話をするのだった。
「それだけれど」
「話は聞いてます」
「そうだったの。貴女も」
「吉見哲也ですね」
 田淵先生は不吉なものを語る感じで名前を出した。
 
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