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ある晴れた日に

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614部分:やがて来る自由の日その四


やがて来る自由の日その四

「できることをしていってね」
「皆でそうやって」
「未晴の為に」
 皆それを聞いて述べる。
「自分達のできることを」
「力を合わせていって」
「そう思ったんだよ」
「だからなんだよ」
 そうだというのだった。
「柳本達を見てね」
「それでなんだよ」
「咲達をなの」
 名前を言われた咲が二人に顔を向けた。
「見て」
「御前等が一番竹林のことを考えて動いてるからな」
「それを見てなんだよ」
 それでだというのだ。
「俺達も何かってな」
「皆についてるだけじゃって思ってな」
「それでなのね」
「二人で」
 その彼等の心も伝わったのだった。
 それならばだ。返す言葉は一つしかなかった。
「御願いするわ、それじゃあ」
「それでね」
 これしかなかった。こうしてそれぞれナイフを受け取り桃の皮を剥き切っていく。それを未晴の前に差し出して皆で囲んで食べるのだった。
「ねえ未晴、美味しいよ」
「いい香りよ」
 また五人が彼女に声をかける。
「食べたいと思わない?」
「食べたいわよね」
「ほら、香りするよね」
「だから」
「食べない?」
 五人で必死に声をかける。だが反応はないままだった。
「やっぱり。このまま」
「何も反応ないし」
「駄目なのね」
「駄目じゃないよ」
 しかしここで明日夢が五人に声をかけてきた。
「それはね。駄目じゃないよ」
「いけてるって?」
「そう言ってくれるのね」
「言ってくれるじゃないわ」
 その言葉をすぐに否定した明日夢だった。
 そしてそのうえで、であった。さらに言うのである。
「事実を言ったのよ」
「事実を」
「言っただけって」
「未晴は生きてるのよ」
 それは間違いのない事実だった。彼女は生きている、確かに反応はないが生きているのだ。実際に呼吸もあれば心臓も動いているのである。
「だから生きている限りはね」
「伝わってるのね」
「ちゃんと」
「そうよ。絶対に伝わってるわ」
 それもまた間違いのない事実だというのである。
「だからね。安心して」
「こうしてやっていけば」
「何時かは」
「何時か戻るわ」
 明日夢は強い言葉で五人に告げた。
「だからね。あんた達のしてることは無駄じゃないから」
「そうよね」
 凛が彼女の言葉に応えて頷いた。
「絶対にね。未晴私達見てるんだし」
「安心していいから。それは」
「わかったわ。それじゃあ」
 頷いてだった。さらに言う彼女だった。
 
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