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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第十一幕その二

 すぐに先生達はお姫様達と一緒に用意してもらった座に就きました。用意されてある座布団の上に座るとです。
 すぐにお料理が運ばれてきました、レタスにトマト、セロリや胡瓜にラディッシュが入っていてチーズやオニオンソースがかけられたサラダが最初に出まして。
 ブイヤベース、貝類や茸のアヒージョ、鮭のマリネ、蛸のカルパッチョ、鱈のアクアパッツァ、海老や烏賊や蟹等魚介類のパエリアと次々に出て。
 チーズの盛り合わせ、ソーセージや生ハム、鴨のグリル、豚のカツレツ、ビーフステーキも出て来てです。動物の皆もびっくりして言いました。
「いや、凄いね」
「そうだよね」
「まさに山海の珍味だね」
「どんどん出て来るね」
「海のものも山のものも」
「凄いね」
「洋食でいい感じだね」
「そうだね」 
 先生も食べながら笑顔になっています。
「ワインも美味しいし」
「本当にここまで出るなんてね」
「凄いよね」
「これがお姫様の宴なんだね」
「催しもいいし」
「うむ、これ位はじゃ」
 お姫様が先生達に微笑んで答えました。
「何でもないぞ」
「これだけの宴がなんだ」
「お姫様には何でもないんだ」
「催しも音楽に舞に凄いけれど」
 琴や笛、三味線等で音楽が奏でられていて着物の妖怪達が舞を舞っています。皆はその舞も見ています。
「これだけの催しが」
「そうなのね」
「妾はこの兵庫、播磨の妖怪の棟梁であるからのう」
 だからだというのです。
「これ位の宴はな」
「何でもなく」
「それで、なんだ」
「普通に宴を開ける」
「それだけのお金があるんだね」
「金は幾らでも持っていて手に入れることが出来る」
 何でもないといったお返事です。
「妖怪は妖怪で銭を稼いでおるからのう」
「それでなんだ」
「お姫様もお金を持っているんだ」
「それもかなり」
「そうじゃ、尚悪事で儲けてはおらぬ」
 そうしたことはしていないというのです。
「そこは安心してたもれ」
「そうなんだね」
「じゃあ奇麗なお金なんだね」
「ちゃんとした」
「そうじゃ、そしてじゃ」
 お姫様はさらにお話します。
「この舞楽の後はな」
「うん、何かな」
「次の催しは」
「一体」
「歌舞伎じゃ」
 こちらの舞台だというのです。
「それも妾達を描いたな」
「天守物語ですね」 
「左様」
 お姫様は題名を挙げたトミーにお顔を少し向けて微笑んで答えました、細くて白い指で白ワインが入っているグラスを持っています。
「それを催す」
「そちらをですか」
「うむ、どうも先生達はあの作品から妾達を知った様じゃしのう」
「はい、実は」
 その通りだとです、先生も答えます。
「あの作品からです」
「妾達を知ったな」
「イギリスにいた時はです」
「全くじゃな」
「泉鏡花も知りませんでした」
 物語を書いたこの人すらというのです。 
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