ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第十一幕その三
「まことに」
「そうであるな、だからじゃ」
「あえてですね」
「あの演目とした」
歌舞伎はというのです。
「そうした、そして歌舞伎の後はな」
「それはですね」
「落語、その後は能で最後は狂言じゃ」
「その順番ですね」
「それで観てもらう」
こう先生に言うのでした。
「その後でな」
「花火とですね」
「ライトアップとな」
「イルミネーションですか」
「そうなっておる、馳走と美酒を食しながらな」
「それは何よりですね」
「どのお料理も最高の味だよ」
王子は今はアクアパッツァを食べています、大きな鱈のそれは本当に美味しくて白ワインにもよく合います。
「かなりの量だけれど全部食べられそうだね」
「そうね、これはね」
ダブダブも食べつつ言います。
「食べられそうね」
「全部ね」
食いしん坊のガブガブは一番楽しんでいます、尚皆ダブダブとガブガブは鴨や豚は同じ種類なので食べていません。
「いけそうだね」
「あまりにも美味しいと幾らでも食べられる」
「よく言われることだけれど」
チープサイドの家族も楽しく食べています。
「その通りよね」
「僕達も自分の体重分食べられそうだよ」
「流石に自分の体重以上は食べられないけれど」
ホワイティも楽しく食べています。
「そこまで食べられそうな感じだね」
「いや、海の幸も山の幸もね」
どれもと言うジップでした。
「いい素材でね」
「調理も素晴らしいわ」
ポリネシアにもこのことはよくわかりました。
「細かい味付けまでしっかりしていて」
「盛り付けもよかったし」
老馬はこのことが気に入っています。
「芸術品みたいな整いだったね」
「一瞬食べるのを戸惑う位にね」
それでと言ったのはトートーです。
「見事なものだったよ」
「だから奇麗に食べようって思うね」
チーチーは実際に礼儀正しく食べています、このことは他の動物の皆も同じで先生と同じだけ紳士そして淑女になっています。
「自然と」
「催しも奇麗だし」
「そちらも素敵だしね」
オシツオサレツはそちらにも注目しています。
「これならね」
「本当に最高の宴だね」
「ワインも」
先生は今食べているステーキに合わせて赤ワインを飲んでいます、そのワインの味について言うのです。
「素敵な味でね」
「気に入ってくれたか、酒も」
「これは日本のワインですね」
「左様、仏蘭西や伊太利亜からのワインも持っておるが」
しかしというのです。
「今はこのワインが一番美味いと思ってな」
「それで、ですね」
「このワインを出したのじゃ」
「赤も白もですね」
「そうじゃ、では酒もな」
「心雪ゆくまでですね」
「楽しんでもらいたい」
言いながらご自身も飲むお姫様です、グラスを持つ手が実に艶めかしいです。
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