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ある晴れた日に

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611部分:やがて来る自由の日その一


やがて来る自由の日その一

                   やがて来る自由の日
 次の日もだった。彼等は咲の机のところに集まってあれこれと話をしていた。
「それでだけれど」
「ああ、今日な」
「何贈る?」
 未晴への贈り物の話であった。
「それで」
「何がいいかな」
「お菓子ばかりだけれど」
「他のにしない?たまには」
 こう言ったのは静華だった。
「お菓子以外に」
「じゃあ果物にするか?」
 坂上がここで言った。
「果物な」
「果物か」
「果物ね」
 皆それを聞いてまず考える顔になった。
「果物っていうと」
「何がいいかな」
「そうだな、一体」
 こう考えているとだった。ここで佐々が言った。
「桃なんてどうだよ」
「桃!?」
「桃を!?」
「そう、桃だよ」 
 その桃をだというのだ。彼が今皆に勧めてきたものはだ。
「桃だったらいいんじゃないのか?」
「何でそこで桃なの?」
 それを聞いて尋ねる茜だった。
「それでだけれど」
「ああ、今丁度家に入ったんだよ」
 だからだというのだった。これで謎が解けた。
「もう山みたいな桃がな」
「それでどれだけなんだ?」
 野茂がその桃の数について尋ねた。
「その桃の数は」
「百個位あるんだよ」 
 平然とかなりの数を出したのだった。
「これがな」
「百個か」
「それはまた」
「どうなんだ?」
 皆それを聞いてまずは唖然とした。確かに百個というと彼等も予想しない数だった。しかし話を聞いてすぐに落ち着きを取り戻したのだった。
「まあそれでよ」
「それで?」
「それを未晴に贈るね」
「どうだよ、それで」
 あらためて皆に話す彼だった。
「その桃でな」
「いいんじゃないのか?」 
 坪本はそれでいいとしたのだった。
「それならそれでな」
「いいんだな、それで」
「ああ。流石に百個はいらないと思うけれどな」
 こう返す坪本だった。そして今度は野本が言った。
「じゃあ何個か俺達が貰っていいか?」
「是非貰ってくれ」
 こう返す彼だった。
「一人当たり何個かな」
「それでも半分位余るんじゃないかな」
 今度は桐生が言う。
「五十個はね」
「五十個ねえ」
 凛はその数について思うところがあった。
「それでも未晴には多過ぎるけれど」
「一人五十個も食えるか?」
 それを聞いて春華も今一つ納得できないものがあった。
「幾ら何でも無理だろ」
「それでも未晴に贈らないと」
 咲がここで言う。
「ちゃんと」
「いや、それはわかってるけれどな」
 佐々はそれに返す。
 
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