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ある晴れた日に

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575部分:鬼め悪魔めその十一


鬼め悪魔めその十一

「けれど」
「けれど?」
「未晴の方はできるわ」
 こう言う恵美だった。
「今はね」
「そう。未晴は」
「音橋は今も病室にいるわよ」
「それでまた歌ってるのね」
「ギターも奏でてね」
「そうしてるのね」
「だからよ」
 恵美はあくまで未晴を見ているのだった。
「あれは絶対に諦めないから」
「あいつはね。そうね」
「むしろ」
 ここで恵美が言うのは。
「心配なのは五人ね」
「五人って?あの娘達?」
「そうよ。あの娘達が問題ね」
「そういえば」
 それを言われて明日夢も気付いた。彼女のことを。
「奈々瀬、何かおかしかったわね」
「あの娘は気が弱いから」
 恵美ははっきりと彼女のことだと告げた。
「だから」
「そうね。あの五人の中で一番気が弱いわね」
「それだけじゃないわ」
 また言う恵美だった。
「今日の話を聞いて明らかに怯えていたわね」
「そうね。大丈夫かしら」
「それでも大丈夫よ」
「問題でも?」
「そう、大丈夫よ」
 こう明日夢に話すのだった。
「何とかね。踏み止まってくれるわ」
「奈々瀬大丈夫なの」
「あの娘も未晴とずっと一緒にいたから」
 その絆の強さを信じての言葉だった。
「大丈夫よ」
「ならいいけれど」
「それで明日夢」
「どうしたの?今度は」
「あれ見て」
 ここで店に入って来た客を見るのだった。
 するとだった。まず入って来たのは。
「あれっ、坪本じゃない」
「そうよ」
 彼であった。いつもの制服姿とは違いシルバーのライダースーツを着ている。かなり意識して服装を決めているのは確かであった。
「そういえばあいつもバイク乗ってたわね」
「それによ」
「それに?」
「もう一人来たわ」
 するとだった。今度は黒髪を長く伸ばした小柄な女の子が来た。シャツにジーンズというラフな格好の可愛らしい女の子である。
「彼女ね」
「間違いないわね」
「げっ、御前等かよ」
 その坪本が二人に気付いて声をあげた。
「御前等までいたのかよ」
「いたのかってここ」
「私のお家の店よ」
 明日夢と恵美が続いて言った。
「ブルーライオンだけれど」
「何度も私の店のことは話してたけれど」
 そのことも話す二人だった。
「看板見てなかったの?」
「このお店の色でわかるけれど」
 その見事な水色を見てである。それはまさしくライオンズブルーである。西武ファンの恵美らしい実に鮮やかな爽やかな青である。
「それに私の家のお店だって近くにあるじゃない」
「来たことなかったの」
「来たことあったらここまで驚いていなかっただろうがよ」 
 坪本はうんざりとした顔になっていた。
 
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