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ある晴れた日に

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547部分:柳の歌その十四


柳の歌その十四

「その柳をね」
「柳をって」
「確かに風に揺られてるわよね」
「ええ」
 その通りだ。今も静かに揺れ続けている。それが何とも弱々しい感じを見せているのだ。
「だからよ。折れそうじゃない」
「けれど折れないのよ」
 また茜に言うのだった。
「柳はね。折れないのよ」
「折れないっていうの?どうしても」
「風に逆らわないで揺られていて」
 恵美の言葉は続く。
「それで折れないのよ。柳の枝は柔らかいし」
「風に逆らわないで揺られているからこそなのね」
「そうよ」
 その通りだというのである。
「だから折れないのよ」
「そうなの」
 恵美の言葉を受けて静かに言葉を出した茜だった。まだ頷くまでにはなっていない。
「それでなの。折れないの」
「あんた今柳みたいって言ったわよね」
「ええ」
 それはその通りだ。認めて頷く。このことは頷くことができた。
「そうよ。言ったわ」
「じゃあ折れないわ」
 また言う恵美だった。
「柳みたいだったらね。その柳だったら」
「そう。折れないの」
「だから私達も折れないのよ」
 話をそう持って行った。これは恵美は考えていた。茜が話に柳を出してだ。それであえてこう言ってみせたのである。彼女が話している間に考えてだ。
「そういうことよ」
「そうなの」
 静かに呟くようにして言葉を出した茜だった。
「だから折れないのね」
「柳だから」
 また柳を話に出す恵美だった。
「折れないのよ」
「わかったわ」
 ここで頷くことができたのだった。
「それじゃあ」
「わかったらね」
 茜が頷いたのを見て微笑んで彼女にこうも言ってみせた。
「いつもの茜みたいにね」
「いつもの私みたいに」
「そうよ。顔を上げるのね」
 そうしろというのだった。
「いいわね」
「ええ」
 小さく頷いてから実際に顔をあげる茜だった。
「わかったわ」
「柳は折れないわ。それで強いのよ」
「強い」
「柳は」
「私達も強いのよ」
 話は強引だがあえてこう言ってみせている恵美だった。
「そう考えればいいじゃない」
「そうだな」
「だったらこれからも」
「やっていきましょう」
 皆にまた告げた。
「このままね」
「そうだな」
「そうするわ」
 皆あらためて決意を固めたのだった。
「やらないとはじまらないしね」
「そうよね」
「やれば何でもできるのよ」
 恵美はまた皆に告げた。
「やってこそよ」
「じゃあ皆」
 決意が固まったところで明日夢がその皆に声をかけてきた。
 
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