ある晴れた日に
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548部分:柳の歌その十五
柳の歌その十五
「今からね」
「ええ、スタープラチナね」
「行くか」
「多分今日はベイスターズ勝ったから」
しかしだった。ここで坂上が自分の携帯をちらりと見てだ。そのうえで彼女に言ってきた。
「負けだってよ」
「えっ!?」
「遂に百敗へのカウントダウンはじまったぜ」
悪いニュースが二重になっていた。
「いよいよな」
「遂にだよな」
「不吉極まるわね」
実際明日夢の顔は曇ってきていた。
「それはまた」
「まあまあ」
「それは忘れて」
女組がその彼女を宥める。
「カラオケ行こうよ」
「あんたの店にね」
「全く。全然勝ってないじゃない」
今更このことを言う明日夢だった。
「全くどうなってるのよ」
「横浜だからだろ、気にするな」
「気にしたら負けだよ」
しかし男組は軽く言う。
「阪神だって前はそうだったんだよ」
「お互い様だ。気にするなって」
「全く。暗黒時代ね」
まさに横浜ファンにとってはその通りであった。
「冬の時代よ」
「春は・・・・・・まあ」
「遠いか」
「そうね」
流石にこれは誰もフォローできなかった。
「横浜の春は」
「何十年先やら」
「阪神だってあれだったしね」
竹山がここで言った。
「もう長い冬で何時終わるかって」
「星野さんがその春だったね」
桐生は彼をかなり高く評価しているようである。
「本当にね」
「うん、春だよ」
まさにそれだと竹山も言った。
「あの人こそがね」
「何かそれでだけれど」
咲がここで話に入ってきた。
「咲のそのお嫁さんに入る家ってあれだから」
「ドラゴンズの家」
「だったよな」
「咲はいいのよ」
まず彼女自身はいいというのである。
「巨人は嫌いだけれどパリーグファンだし」
「そっちは関係ない」
「そうね」
「そういうこと。ホークスがよければいいから」
この辺りは徹底しているのであった。
「それでドラゴンズはどうでもいいけれど」
「星野さんのことは」
「どうなんだよ」
「あまり。聞けないわね」
首を捻っての言葉であった。
「やっぱりね」
「裏切り者とか?」
「それかな」
「そう思っていても不思議じゃないけれど。ただ」
「ただ?」
「何かあんのかよ」
皆ここでまた咲に対して問うた。
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