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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第八幕その七

「織田信長は破戒僧を懲らしめた」
「そうした見方も出来るんだね」
「よく神聖なお寺を焼き討ちしたとか言われるけれど」
「また違うんだ」
「十字軍みたいに無茶苦茶はしていないから」
 このことは重要だというのです。
「織田信長はね」
「十字軍って酷かったからね」
「エルサレムに攻め込んだ時とかね」
「同じキリスト教のビザンツ帝国に攻め込んだり」
「もうやることも滅茶苦茶で」
「南フランスのアルビジョワ十字軍とかね」
「とんでもなかったね」
 動物の皆はかつて先生に教えてもらったことを思い出しました。
「何ていうかね」
「人間ここまで出来るのかってね」
「そう思える位酷くて」
「問題外だったね」
「十字軍は」
「本願寺との戦いも比べものにならなかったよ」
 十字軍と比較すると、というのです。
「本当にね」
「じゃあ全然違うんだ」
「よく第六天魔王って言われるけれど」
「実際の信長さんは違うんだ」
「魔王じゃなかったんだ」
「魔王というか新しい時代を切り開いた人だよ」
 それが織田信長という人だというのです。
「それで安土城はね」
「奇麗なだけじゃなくて」
「あの人の宗教についての考えも出ていて」
「凄いお城だったんだね」
「天主閣も」
「そうだよ、その天主閣たるや」
 まさにというのです。
「この世のものとは思えない」
「そこまでのもので」
「壮麗そのものだったんだね」
「今はもうないけれど」
「そしてね」
 先生は本を読みつつこうも言いました。
「お城も飾ったりしていたよ」
「その安土城を?」
「そうしたこともしていたの」
「そうだったんだ」
「うん、天主閣の提灯を幾つも付けて夜に照らしたこともあったそうだよ」
 このこともお話するのでした。
「あの人は」
「それライトアップね」
「凄いことしてたんだ」
「イルミネーションみたいね」
「それはまた」
 このことには動物の皆もびっくりでした。
「四百年以上昔のライトアップとか」
「織田信長さんってそんなこともしていたんだ」
「色々凄いって思ってけれど」
「そんなことまでしていたんだ」
「只の英雄じゃなかったんだね」
 チーチーはしみじみとして思いました。
「そうしたセンスもあったんだ」
「芸術家の一面があったのかも」
「そうよね」
 チープサイドの家族もお互いでお話します。
「天主閣も凄いけれど」
「その天主閣のライトアップとか」
「少なくとも普通の人じゃないね」
 トートーもこう言います。
「織田信長さんは」
「時代の先駆者に相応しい人だったのね」
 ポリネシアが思う織田信長はそうした人です。
「まさに」
「ただ政治家や軍人として凄いんじゃなかったんだ」 
 ガブガブも呻ります。
「そんなことまで考えてしていたんだ」
「そのライトアップ見たいね」
 ホワイティは心から思いました。 
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