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ある晴れた日に

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535部分:柳の歌その二


柳の歌その二

 そのうえでだ。さらに話すのだった。
「ただ」
「ただ?」
「これから。そこまで飲まない方がいいわよ」
 彼等にこう忠告するのだった。
「それはいいわね」
「あまりですか」
「飲むなってことですか」
「長い話になるから。それで辛いわよ」 
 だからだというのである。あまり飲むなというのだ。
「だからね。身体を壊さない為にもね」
「そうですか」
「それで」
「わかったわね。出来る限りはね」
 言葉はあまり強くはなかった。彼等の受けたショックをわかっているからこそ先生にしろあまり強くは言えなかったのである。それが言える程先生にしろ情を知らないわけではなかった。
「いいわね」
「ええ、じゃあ」
「今は」
「それは気をつけて」
 言い聞かせる言葉であった。
「本当にね」
「わかりました」
「出来るだけは」
「それで」
 ここでは深く考えてからだった。そのうえで彼等に話すのだった。
「そうね。難しいけれど」
「あいつにですよね」
「このことを」
「言うべきね」
 江夏先生はこう決断を下したのだった。
「彼には」
「そうですか。言うべきなんですね」
「それで私達も」
「言葉は選んで」
 先生は決断は下した。しかしその言葉にはまだ躊躇いが見られた。話があまりにも深刻なものである為にどうしてもそれが残ってしまっていた。
「それはね」
「はい、それは」
「それも」
「わかっていてくれたらいいわ」
 何時になく真剣な先生だった。
「本当にね」
「ええ、わかってるつもりですから」
 皆も何時になく真剣である。
「それでこれからですけれど」
「私達もお見舞いに行ってもいいですか?」
「あそこに」
「そうね」
 また思索に入った先生だった。深い思索の中に。
「いいと思うわ」
「いいんですね」
「それで」
「隔離病棟ってことは気をつけて」
 それは、というのである。くれぐれもという言葉だった。
「そこはね」
「はい」
「それをですね」
「くれぐれもね。とにかく考えて」
 言葉はまたしても念を押すものになっていた。それだけ真剣ということだった。先生にしろ彼等にしろ今はそうなのだった。
「慎重にね」
「あいつが少しでも回復するなら」
「やってみます」 
 こう言い合ってそのうえで頷き合う彼等だった。そうしてそのうえで、だった。彼等は教室に戻った。だが正道のところには行けなかった。
「行く?」
「どうする?」
「行くのはちょっと」
 まずは五人が顔を見合わせて言い合った。
 
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