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ある晴れた日に

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525部分:空に星は輝いているがその十二


空に星は輝いているがその十二

「これからな」
「どうするんだ?」
「だからどうするって」
「何をだよ」
「行くってことね」
 恵美が言った。
「そういうことね」
「それか」
「具体的にはそれかよ」
 ここでやっと答えが出たのだった。言い出したのは今となってはよくわからない。しかしそれでも彼等はここで答えを出したのである。
「隔離病棟にか」
「中に入るのね」
「中に入るのには覚悟が必要かもね」
 桐生はその重厚な扉を見て呟いた。
「それもかなりの」
「覚悟?」
「覚悟って」
「何かあるのは間違いないよ」
 こう皆にも言う桐生だった。
「音橋君の表情何か浮かないものだったし」
「じゃああいつが行った場所って」
「かなり」
「まだはっきりわからないけれど」
 桐生は前置きはした。
「けれど隔離病棟だよ」
「隔離病棟・・・・・・」
 その言葉にじは独特の重苦しさがあった。間違いなく。
「じゃああの先には」
「とんでもないことが」
「あいつ、そこに」
「なあ」
 野茂が眉を顰めさせながら皆に告げてきた。
「ここで帰らないか?」
「帰るっていうのかよ」
「ああ、帰らないか」
 こう坂上に言うのだった。
「何か嫌な予感がするしな」
「確かに」
「何かかなり」
 それは皆も同じだった。隔離病棟ということが最も大きかった。
「やっぱりここは」
「行かない?」
「そうするか?」
 それぞれ顔を見合わせて言い合った。
「それもいいかも」
「絶対に何かあるぜ」
「いや、行くべきじゃねえのか?」
 だがここで野本が言うのだった。
「ここはな。行くべきじゃないのか?」
「行くの?」
「どうしてもかよ」
「確かによ。お世辞にもいい趣味じゃねえぜ」
 それは彼もわかっていることだった。
「人の後ろをついて探るってのはな。探偵さんなら仕方ないけれどな」
「俺達探偵じゃないしな」
「だったら」
「だからそれはよくはないさ」
 彼はそれは言うのだった。また、だった。
「けれどな。絶対に何かあるぜ」
「そうだな。これはな」
「何かあるわ」
 皆ここでまた言い合うのだった。
「それじゃあやっぱり」
「行く?」
「そうする?」
 そうしてだった。決断を下したのだった。
「行こう」
 行ったのは咲だった。
「ここはね。やっぱり行こうよ」
「行くのね」
「ここは」
「咲も人の後ろつけるのはよくないってわかってるわよ」
 それは彼女も同じなのだった。
「けれどさ。あいつがそれで困ってるのなら」
「それを見極めて助けるのもか」
「いいのね」
「まあこれは理由付けみたいになるけれど」
 咲はそこまでもわかっているのだった。
「けれどね。ここはやっぱりよ」
「行くか」
「そうする?」
 また言い合う彼等だった。
 
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