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ある晴れた日に

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507部分:冷たい墓石その十五


冷たい墓石その十五

「私とあっちゃんだけれど」
「あっちゃん!?」
「あっちゃんって少年のこと?」
「そうよ。私はあっちゃんって呼んでるの」
 意外なところから明日夢のもう一つの仇名がわかったのだった。どっちかというとこちらはかなり親しみやすいというか幼い感じのものだった。
「昔からね」
「あんた達昔からの知り合いだったの」
「何かどんどん事実がわかるけれど」
 五人は話を聞く前から完全に意を取られてしまっていた。
「何で知り合いになったのよ」
「音橋とも」
「ああ、名前だけれど」
 実は名前もまだ言っていないのだった。話はそれどころではなかった。というよりかはこの執事の女の子が話を完全に自分のペースにしてしまっていたのだ。
「まだ名乗ってなかったわよね」
「そうよ。言おうかなって思ってたけれど」
「やっとその話になってきたわね」
「そうだよ。やっとだよ」
 春華も完全に呆れた顔になっていた。
「少年のツレだよ、本当に」
「何で私の名前が出るのよ」
「いや、何となくな」
 今の言葉に少しむっとなった明日夢へ笑いながら返しもした。
「そう思ってよ」
「私みたいな可憐な乙女を捕まえてよ」
「その言葉は幾ら何でも」
「無理があるんじゃ」
 今の明日夢の言葉には五人だけでなく執事の女の子も呆れてしまったのだった。
「それって」
「ねえ」
「どう考えても」
「これでも処女よ。処女って乙女のことじゃない」
 明日夢の弁によればそうなるのだった。
「だから私はね」
「処女なのは私も同じだし」
「私もよ」
「私も」
 これは五人も執事の彼女も同じだった。誰もがなのだった。
「まあ高一にもなってだけれどね」
「それはちょっとね」
「何ていうか」
「ねえ」
 皆で話す彼女達だった。何時の間にか五人と彼女はかなり仲がよくなっていた。
「それを言ったら」
「じゃあ皆乙女でいいじゃない」
 そういうことにしようとする明日夢だった。そしてまた話すのだった。
「それでね」
「まあそうだけれどね」
「それでだけれど」
 皆ここでさらに話すのだった。
「あんたの名前よ、名前」
「そうそう、何ていうのよ」
「陽子っていうのよ」
 彼女はにこりと笑って名乗ったのだった。
「丸谷陽子っていうのよ」
「ふうん、丸谷さんっていうの」
「陽子お嬢様でいいわよ」
 ここでこんなことを言ってきたのだった。
「フロイラインでもいいし」
「いや、それでは絶対に呼ばないから」
「安心していいわよ」
 それはすぐに否定した五人だった。
「陽子ちゃんでいいわね」
「っていうかそこでふざけないの」
「あはは、じゃあ陽子ちゃんでね」
 やはり冗談だった。陽子もそれでいいとしたのだった。
 そうしてそのうえで。彼女は五人に対して話した。
 
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