| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ある晴れた日に

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

506部分:冷たい墓石その十四


冷たい墓石その十四

「あれだって要はただの喫茶店じゃない」
「確かに」
「結局のところは」
「ウェイトレスがメイドさんになったからあそこまで人気になるのよ」
 明日夢はその辺りもシビアに見て計算しているのだった。
「ちゃんとね」
「そういうものなのね」
「何かそういうのが男心をくすぐるっていうの?」
「甘いわね」
 しかしであった。明日夢はここでにやりと不敵な笑みを浮かべてきた。そうしてそのうえで今度はこんなことを言ってきたのだった。
「男がいいって思うことは女もいいものなのよ」
「女もって」
「私メイド別に好きじゃないけれど」
「服は可愛いって思うけれど」
「執事よ」
 明日夢が話に出してきたのはそれだった。
「執事も必要なのよ」
「執事ねえ」
「じゃあ今度はお嬢様ってわけ?」
「そうよ。見て」
 明日夢が言うとだった。すぐに長い髪の毛を後ろで一つに束ねた白面の美形が出て来たのだった。すらりとして実に気品のある顔立ちをしている。その服が。
「どうかしら」
「うわ、美形」
「女の人みたいじゃない」
「女の人よ」
 それだとすぐに答えた明日夢だった。
「この人はね」
「えっ!?」
「女の人!?」
 五人はそれを聞いてまずは唖然となった。
「この人が!?」
「何ていうか」
「そうよ。女の人よ」
 また言う明日夢だった。
「それでこの人がね」
「この人がって」
「まさか今日私達に」
「そうよ、この娘がよ」
 子が娘になっていた。
「あいつのこと教えてくれるね」
「話は聞いたわ」
 その娘から五人に対して言ってきたのだった。
「もうね」
「えっ、もうって」
「何時の間に?」
「メールでね」
 こう言ったうえでくすりと笑って述べてみせたのだった。
「教えてもらったのよ」
「何だ、そうなの」
「何かと思ったら」
 種明かしをされると拍子抜けしてしまう五人だった。
「それだったの」
「もう手配していたのね」
「そういうことよ」
 ここではかなり誇らしげに話す明日夢だった。
「こう根回しとかは商売の基本だからね」
「何か佐々といい少年といい」
「実際のところ裏で何の商売してるのよ」
「やっぱりこの服あれじゃない?」
 五人は不審に思いながら今着ているそのメイド服を見るのだった。
「どっかの風俗店から仕入れたものとか?」
「そういうのじゃないの?他にも色々手に入れたっていうし」
「だから。流石にそういうのはないから」
 それはあくまで否定する明日夢なのだった。とはいっても目は笑っている。誇らしげではあったがそれでも笑っているのは事実だった。
「安心しなさいって」
「実はね」
 その執事の女の子はここでまた言ってきたのだった。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧