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ある晴れた日に

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493部分:冷たい墓石その一


冷たい墓石その一

                    冷たい墓石 
 病院の前で正道を見た春華は翌日。朝咲達に対してこのことを話すのだった。
「病院に?」
「そうなんだよ。市立病院な」
 何処かまでも彼女達に話す。クラスの咲の席の周りで今話していた。
「昨日の夜見たんだよ」
「ああ、あの時」
「甲子園からの帰りね」
「ああ、その時な」
 またはっきりと話すのだった。
「そこにいたんだよ。丁度病院出た時だったな、あいつ」
「ってかなり遅いわよね」
「そうよね」
 四人は春華の話を聞いてその時間についても考えた。
「そんな時間まで何してたんだろ」
「怪我とかしてるの?病気とか」
「それはないんじゃないの?」
 静華がそれは少しいぶかしみながらも否定した。
「それはね」
「ないかしら」
「それは」
「多分ね」
 断定はできないが言うのだった。あくまで彼女の予想でしかないがそれでも言うのであった。
「だって怪我とか病気してたら自棄酒とかしないし動きだって」
「そういえば特に悪くないみたいね」
「体育だって普通に動いてたし」
 奈々瀬と凛は正道の席を見た。まだ彼は登校しておらずその席も空いたままであった。
「昨日の授業だって」
「そうだったわね」
 咲と静華はそのことも話した。
「別に何もなかったっていうか」
「怪我も何もなかったし」
 丁度昨日その体育の時間があったのだ。それで五人はそのことも思い出して話すのだった。こうした根拠となるものがあれば考え易いのだった。
「じゃあやっぱり」
「身体は何ともないのね」
「性格なんてのじゃないわよね」
 凛は少し冗談めかしてこんなことを言った。
「それでそれを治しにってこと?」
「確かに性格はあれだけれど」
「ぶっきらぼうだけれど」
 それは話し方にも出ていた。彼の性格はクラスでは有名になっていた。
「それでも別に人間性がおかしいってところまでいかないし」
「精神科に行くっていうのじゃ」
「ないんじゃないの?」
 五人はそれぞれ言うのだった。
「やっぱりそれは」
「多分だけれど」
「そう。やっぱり」
 凛は冗談めかして言ったことだったがそれでも周りの言葉を聞いて納得するのだった。
「それはないの」
「あいつの問題じぇねえってことか」
 春華はそれを聞いて述べた。
「それじゃあ」
「アル中でもないし」
「そこまでいかないでしょ」
 咲と奈々瀬はそれもどうかとするのだった。
「確かに前まで滅茶苦茶に飲んだけれど」
「急性アルコール中毒だったら倒れるわよね」
「っていうかそうなったら昨日あそこまで動けないわよ」
 静華がこう述べた。
「とてもねあそこまではね」
「じゃあやっぱりあいつ自身は何もないのね」
「それじゃあ」
 五人はこう結論を出した。しかしそれでも疑問は解決せず朝からそれぞれ難しい顔をしてあれやこれやと話をしていくのであった。
 そうしてその中で。また春華が言った。
「見舞いでも行ってるのかよ」
「お見舞い?」
「っていうと?」
「そこまではわからねえけれどな」
 そこまではないというのだった。
 
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