ある晴れた日に
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489部分:歌に生き愛に生きその十一
歌に生き愛に生きその十一
「まあ金で巨人に行った連中は」
「やがて終わるからな」
「どいつもこいつもな」
何故か巨人にトレードで入った選手の終わりは誰もがよくない。昔からある不可思議な話である。例外なく誰もがそうなっているのである。
「広澤だってそうだったしな」
「あいつは馬鹿だったな」
「全く」
広澤と聞いて顔を顰めさせる春華と奈々瀬だった。
「ヤクルトにいたらよかったのにな」
「それがああなって」
「阪神に行って」
「折角スラッガーだったのに」
「いいんじゃないの?」
「ねえ」
しかし阪神ファンの凛と静華はこう言うのであった。
「阪神で復活したんだし」
「それでね」
「けれど二〇〇〇本安打できなかったしな」
「もうすぐだったじゃない」
何だかんだで二人も広澤が好きなようである。
「巨人にさえ行ってなかったらな」
「いけたのに」
「本人はそのこと後悔してるんじゃないかな」
ここで言ったのは桐生だった。
「やっぱりね。このことをね」
「そうだといいけれどね」
明日夢は彼のその言葉を聞いて述べた。
「悪の道に入ったことをね」
「全くよ」
咲も巨人と聞いて顔を顰めさせていた。
「うちなんか小久保さん強奪されたしね」
「取り返して正解だったわね」
「当たり前よ。今度日本シリーズで出会ったら」
怒りに満ちた声で恵美に返す咲だった。
「あの連中。ギッタンギッタンにしてやるわよ」
「それはうちの台詞よ」
ここで茜も言うのであった。
「小笠原の怨み、一億倍にして返してやるわよ」
「死ね、ジャイアンツ!」
「永久に最下位になってろ!」
周りの阪神ファン達がここで叫ぶ。
「何が球界の紳士だ!」
「御前等は球界の北朝鮮だ!」
まさにその通りである。巨人が球界の紳士という言葉、いや妄言こそがマスコミの洗脳そのものである。巨人はまさにある人物を頂点とする究極の独裁組織なのである。他の糾弾にエゴによる災厄を与え続けていることから球界のテロ支援国家と言うべきだろうか。
「打倒巨人!」
「ざまあ見ろ!」
「いい声だな」
「全く」
皆周りのそうした正義の声に満足していた。
「それじゃあまあ」
「帰るか」
言いながら駅に向かう。しかしここで春華だけ外れるのだった。
「じゃあここでな」
「ああ、バイクか」
「それで来たんだっけ」
「そうさ。うちの自慢のバイクだよ」
春華はにこやかに笑って皆に話した。
「名付けてブラックスワローな」
「ブラックって」
桐生が誇らしげにその愛車の名前を話した春華に対して首を傾げながら返した。
「燕って元々色が黒くなかったっけ」
「だよなあ」
「白と黒で」
「いいんだよ」
皆の突っ込みに戸惑いながらも居直って返す春華だった。
「そういう細かいところはよ」
「まあそうだけれどね」
桐生もまずはそれでいいとしたのだった。
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