ある晴れた日に
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484部分:歌に生き愛に生きその六
歌に生き愛に生きその六
「その時は何とも思わなかったけれど」
「今はね」
「この二人ガチレズだろ」
「だよなあ」
「どう見てもな」
男組は今もじゃれ合う二人を見てひそひそと話をする。
「五月の野外でも一緒にいたしな」
「寝る場所も隣同士だったんだろ?」
「そうだったのよね」
静華が困った顔で男組に答える。
「何時一線を越えるかって見ていてドキドキしてたわよ」
「ドキドキかよ」
「心配じゃなくてよ」
「そう、ドキドキ」
こう佐々と野茂に述べた。
「まあ何もなかったけれど」
「だって私達ノーマルだし」
「興味あるのは男の子だし」
とは言っても二人は今は正面から抱き合う有様であった。背は違うが二人共その脚も実に長く奇麗なものである。どちらもスタイルはかなりいい。
「ねえ」
「ただの仲良しだよ」
「まあ今はそうでもな」
「っていうか異様にいやらしい光景だな」
坂上も坪本も今の二人を見ながら言う。
「まあとにかくよ」
「ええ、とにかく」
「どうしたの?」
「プリクラはその時でいいけれど」
咲が言うのだった。
「少年、最近お店のユニフォーム変えるって話本当なの?」
「変えるっていうか追加なのよ」
そちらだというのである。
「追加するのよ。ちょっとね」
「追加って何を追加するのよ」
「メイドとか」
まずはそれであった。
「あとコギャルとかセーラー服とか。女医さんやナースやスチュワーデスも入れたけれど」
「それってまんま風俗じゃねえかよ」
野本が速攻で突っ込みを入れた。
「で、客がセクハラしたらあれか」
「今度は急所蹴りよ」
実際に正面に右足の蹴りを入れてみせる明日夢であった。
「正当防衛だからいいわよね」
「だからそれやり過ぎじゃないの?」
奈々瀬は彼女の今の言葉を聞いて述べた。
「急所だけは」
「じゃあ喉とかは?」
「それも急所だし」
また明日夢に返す奈々瀬だった。
「というか喉ってことは」
「そう、地獄突き」
今度は伸ばした手刀をすっと前に突き出す。爪の方からである。
「こうやってね」
「それやったら急所以上にやばいんじゃないかな」
桐生は明日夢の言葉を聞きながら述べた。
「それはね」
「そうかしら」
「そう思うよ。喉も危ないからね」
桐生はこの時往年の名悪役アドタブラ=ブッチャーを思い出して話をしていた。外見は恐ろしいが心は温かかったその悪役をである。
「そんなに危ないの」
「大体身体の中心には急所が集まってるけれど」
桐生は急所全体の話をはじめた。
「喉は下手したら死ぬよ」
「潰れるだけじゃないの」
「首だしね。物凄く危ないよ」
「じゃあ止めておこうかしら」
彼の言葉を聞いてこう考えた明日夢だった。
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