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ある晴れた日に

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483部分:歌に生き愛に生きその五


歌に生き愛に生きその五

「それはな」
「何だよそれって」
「悪いな」
「充分過ぎる程悪いよ」
 その正道の言葉に対する突込みだった。
「じゃああれかよ。ゲーセンとか家とかでやってるのかよ」
「そんなところだ」
「ゲーセンでゲームでやるならな」
 ここで明日夢の方をちらりと見てそれからまた言う春華だった。
「少年の家の店でやれよな、せめてな」
「あいつの家にそんなゲームあったか?」
「いや、うちは知らないけれどな」
 今度はいささか以上に無責任な返答だった。
「それはな」
「ないけれどね」
 明日夢本人からも言葉が来た。
「そういうのは。普通のゲームとかUFOキャッチャーとかプリクラはあるけれどね」
「じゃあ特にいい」
「そうなの」
「いや少年よそうじゃなくてよ」 
 引っ込もうとする明日夢を引き止めにかかる春華だった。実際に彼女の両肩を後ろから持ってそのうえで正道に対して引き立ててみせる。
「こいつ最近よ。あまりにおかしいだろ」
 そのうえで後ろから彼女に囁くのだった。
「あんまりじゃね?何か怪しいしよ」
「怪しいことは怪しいわね」
 明日夢もそれは感じていた。
「けれど」
「だからよ。ガツンと言おうぜ」
「何か言っても今は効果ないっぽいよ」
 しかし明日夢はそう見ているのだった。
「今のこいつにはね」
「ねえか」
「もう少し時間置いた方がいいと思うわ」
 また言う明日夢だった。
「とりあえずはね」
「そうかよ。何かうちは言いたいけれどな」
「じゃあ言うの?」
「言いたくても何か言葉が出ないんだよ」
 その細い眉を顰めさせて口も歪ませての言葉であった。
「今はよ。何でだよ」
「今は何か言うべきじゃないってことよ」
 その春華に恵美が告げてきた。丁度二人のすぐ側に来たのである。
「だからね。音橋はとりあえずはね」
「そっとってことかよ」
「そういうこと。ねえ音橋」
 正道自身にも声をかける。その流麗な整った目を彼にも向ける。
「静かにしておくからね」
「悪いな」
「じゃあ行こう、春華」
 今度は明日夢が彼女の両肩を後ろから押す番だった。とはいっても背が違うので彼女が後ろに隠れてしまう形になってしまっていた。
「皆待ってるよ」
「そうそう。私ずっと待ってたんだから」
 凛がその明日夢の後ろににゅっと出て来て言うのだった。
「少年、新しいプリクラ入ったって?」
「そうよ。またね」
「じゃあ今日スタープラチナ言っていい?」
 彼女は後ろから明日夢を抱き締めていた。そうして彼女に言うのである。
「それで二人で撮ろうよ。一緒にね」
「そうね。じゃあ一緒にね」
「っていうかあんた等最近二人で撮り過ぎ」
 二人の横から茜が冷めた目で言う。
「明日夢も凛もお互いで撮ってばっかりじゃない」
「だって何か息が合うし」
「中学校まで違ったけれど」
 見れば髪形は殆ど同じの二人だった。ただし凛の方が明日夢より十五センチは高くなってしまっている。背は全く違っていた。
「グループも違うけれどね」
「そういえば中学校までもお店でしょっちゅう顔を合わせていたっけ」
 これは当然のことであった。何しろスタープラチナは明日夢の家の店で彼女がいつもいる。そこに行けば彼女に会うのも当然のことであった。
 
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