リュカ伝の外伝
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哀れな男、心の闇、悲しい結末
前書き
このお話は、不愉快極まりないお話です!
重い話を目指しましたが、ただただ不愉快な話しに仕上がりました。
不愉快な話が苦手な方は、読まれない方が良いです。
それでも読んでしまい、不愉快な気持ちになっても、クレームをつけないでね!
<ポートセルミ-酒場>
俺の名はジャイー。
故郷のアルカパから出て2年。
今は、このポートセルミの酒場で黒服として働いている。
黒服とは…要は踊り子達のボディーガードだ!
酔っ払ったバカが踊り子にちょっかいを出したら、この鍛え上げられた肉体で駆逐する!
まぁ…後は雑用を少々…
俺の場合雑用が多い。
俺に刃向かうバカは居ない!
そんな俺の目下のお気に入りは、踊り子の『クラリス』だ!
整った容姿に、大きな胸、そして細いウエストは堪らない!
そのクラリスの出番も全て終わり店を出て行こうとしている。
俺はクラリスに近付き話し掛け口説く。毎日の日課の様なものだ。
こう言った日々の積み重ねで女は心を許すんだ!
「よう、クラリス!今日も色っぽくって良かったぜ!…なぁ、そろそろ俺と付き合えよ!お前も俺に惚れてんだろ!」
「ちょっと!冗談止めてよね!!何で私がアンタなんかと付き合わなきゃいけないの!?」
これがウワサのツンデレか?困ったもんだな…女って生き物は。
この後も口説き続けたが、
「いい加減にして馬鹿!!」
と、顔を赤くしてクラリスは逃げてしまった。
よほど恥ずかしかったんだろう…
顔…真っ赤だったぜ!素直になればいいのに…
少しばかりクラリスとおしゃべりがすぎた様で、仕事が溜まってしまった。
店長にどやされ、もう上がる時間にも拘わらず俺はステージにモップをかけている。
すると酒場の奥で一人の田舎者を三人のならず者が囲みカツアゲをしている。
俺は今、時間外だ!
面倒事に首を突っ込んでられない!
よく見るとならず者共は、最近ラインハットから流れてきた兵士をクビになった連中だ。
他のみんなも遠巻きに眺めている。
しかし、一人の旅人風の男が近付き不思議そうに眺めている。
ならず者のリーダー格が、男の視線に気が付き不機嫌な態度で男に詰め寄る。
「何見てんだ!?にいちゃん!!」
ならず者が恫喝をするが、男は怯えた様子もなく答えた。
「いえ…変わったナンパだな~と思いまして。あ!どーぞ-…気にせず続けて下さい。邪魔しちゃ悪いから。」
「ぷーっ!!」
ツレの女が思わず吹き出したのを合図に、ならず者は怒りのまま剣を抜き放ち、男へ斬りかかる。
勝負は一瞬で着いた。
近距離から斬りかかったにも拘わらず、男は軽く去なし、ならず者リーダーを遠く離れた壁まで投げ放つ!
頭から壁に激突したリーダーを、手下二人が抱え逃げて行く…
フン!俺だってあのくらい出来るさ!
俺はああ言うスカしたヤツが嫌いだ!
初恋のビアンカと仲良くしていたのも、あんな紫のターバンを巻いたスカしたヤツだった!
同一人物か!?
イヤ、そんなはずない!
ヤツの故郷のサンタローズは滅ぼされたんだ…
一緒に嬲り殺されたに違いない!いい気味だ!
・
・
・
俺はさっさとモップがけを終わらせ、自室へと帰る。
自室と言っても、店が提供するボロアパートだ。家賃は給料からの天引。
店長のアホにゴチャゴチャ言われなければ、もっと早く帰れたのに…
あのアホ、いつかぶっ飛ばしてやる!
今日も夕方になり、俺は酒場へ仕事に出かける。
店長のアホが、遅刻だ何だと喚いている。
朝、時間以上働いてたんだから、遅れて来ても構わねぇーだろーが!!
相変わらずムカつくヤローだ!
取り敢えず詫びの言葉を吐いて仕事に取り掛かる。
ステージでは既にクラリスが踊っている。
本当に良い女だ!
絶対俺の物にしてやる…こんだけ毎日口説いてんだ。もう少しで落ちるはず!
そうしたら毎日犯してやる!
ステージで腰を振るか、俺の上で腰を振るかの毎日にしてやるぜ!
そんな事を考えていたら、先輩黒服の『ゴドラド』が俺の頭を小突いてきた。
「テメェー、何サボってんだ!今日、遅刻してんだからその分多目に働けボケェ~!」
本当、この店はムカつくヤツらばかりだ!
いつかぶっ殺してやる!
その日俺は裏方の仕事を押し付けられた。
皿を洗ったり、倉庫から酒を運んだり…
そろそろクラリスが上がる時間だ!
俺は仕事を放り出し、クラリスを迎えに行く。
店内に入ると、クラリスはステージ衣装のまま、客とテーブル席で会話をしている…朝のスカした男だ!
顔を近づけ楽しそうに会話をしていたが、立ち上がり二人して宿屋へ向かって行った!
ふざけやがってあのヤロー!!
その女は俺の物だ!手ぇ出してんじゃねぇー!!
俺は男をぶっ飛ばしてやろうと思い、ヤツの元へ近付く………前に、突然店長が現れて俺に怒鳴りだした。
「テメー今日は裏方だろが!何で店内でサボってんだ!ちょっと来い!」
俺は後ろに控えていたゴドラドに胸ぐらを捕まれて店長室まで連れて来られた!
クソ!今それどころじゃねぇーんだよ!
俺の女が食われちまうだろが!!
・
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・
もう1時間近く説教をされている!
ゴドラドは店内に戻ったが、店長の小言は尽きる事が無い!
俺の我慢も限度を超えた!
「うっせーんだよ!クソオヤジ!!」
俺の拳が店長の左頬にめり込む。
血を吐いて倒れた店長に、2度3度と蹴りを入れ俺様の怒りを思い知らせる!
本当はまだやり足りないが、それどころではないので、この辺で勘弁しておいてやった。
慌てて宿屋に向かい、受付のオッサンにヤツの部屋を訪ねたが『そう言った事を教える事は出来ない!』と、ナメた事抜かしやがった。
2.3発ぶん殴ってやったら、泣きながら喋ってきた。
最初から素直に喋っていれば痛い目をみないで済んだものを………
俺はヤツの部屋の前まで行くと、ドアに耳を当て中の様子を伺う。
ベットの軋む音と共にクラリスの喘ぎ声が聞こえてくる。
ぶっ殺してやるあのヤロー!!!
ドアを蹴破ろうとした瞬間、俺の脇腹に衝撃が走った!
周りを見るとボロボロの店長とゴドラド達数人の黒服に囲まれていた!
気が付いた時は既に翌日の夕方だった。
俺は酒場横のゴミため場に捨てられていた。
ヤツら数人がかりで俺をボコボコにして、ゴミと一緒に捨てやがった!
見渡すとゴミと一緒に自室にあった俺の荷物も捨てられている。
どうやら追い出された様だ…
フン!こんな店こっちから出てってやるよ!!
だが俺を裏切ったクラリスを許す訳にはいかない!
俺は痛む身体で酒場のステージ奥にある楽屋へ赴きクラリスに詰め寄った。
「おい、クラリス!昨日、あのターバンの男と何やってた!」
「何って…アンタには関係ないでしょ!」
「ふざけんな!お前は俺の女だ!他の男と寝るなんて許さねぇ!」
「何で私がアンタなんかの女にならなきゃいけないのよ!アンタの女になるくらいなら、スモールグールに犯された方がマシよ!」
ちきしょう!ちきしょう!ちきしょう!ちきしょう!
「このアマ~…馬鹿にしやがって!!」
俺はその場でクラリスを押し倒し、下着同然のステージ衣装を引き剥がす!
「きゃ~~~~~~!!!!!!!」
クラリスの身体に馬乗りになり、左手で両腕を押さえ付け、右手でズボンのチャックを下ろそうとした瞬間、俺の脇腹に強烈な蹴りがめり込んだ!!
ゴドラドが駆け付けオレを蹴り上げた!!
「何踊り子を襲ってんだコラ!!昨晩、フクロにされただけじゃ足りないらしいな!」
アバラが折れ、上手く息が出来ない…
数人の黒服が集まり、俺の事を蹴りまくる!
「2度とこの町に入るんじゃねぇ!!」
そして俺は黒服の捨てぜりふと共に町の外へ捨てられた。
ちきしょう!ちきしょう!ちきしょう!ちきしょう!ちきしょう!
必ずぶっ殺してやる!必ずだ!!
<ルラフェン>
俺はルラフェンという入り組んだ造りの町で暮らしている。
行き交う通行人を襲い金品を強奪して暮らしている。
特に狙い目は若い女だ!
襲い、犯し、奪い、殺す。
この町なら隠れる場所も多く、官憲にも掴まりにくい!
今も、5日前に襲った親娘を、隠れ家の一つで犯しているところだ。
金はあんまり持ってなかったが、良い女だったので隠れ家まで持ち帰ってきた。
特に娘を気に入ってしまった。
まだ10歳にも満たないのだが、初恋のビアンカによく似ている娘だ。
だが、その娘も先程からぶち込んでいるのに反応が無い…どうやらくたばった様だ…
俺は娘の死体の中に欲望を注ぎ込むと、手近に置いてあったこん棒で娘の頭を叩き潰す!
その光景を見て悲鳴を上げる母親の頭へもこん棒を叩きつける!
性欲を満足させた俺は、今度は食欲を満足させるべく酒場へ繰り出した。
そこで、ここルラフェンより西にある山の滝の裏にある洞窟に、お宝があるとの情報を得た為、俺は一財産稼ぐ気になっていた。
<滝の洞窟>
酒の勢いで直ぐさま町を出てしまったが、何とか山も麓まで来る事が出来た。
山の岩壁をよじ登り、滝の裏側にある洞窟を発見。
そのまま洞窟内を探索する。
暫く洞窟内を探索していると、人の声が聞こえてきた…
「あれ!?誰かいる!」
緊張感の無い声…
振り向くと、紫のターバンを巻いたあの男がこちらへ近付いてくる。
「あら?本当ね?船もなかったし、どうやって来たのかしら?」
しかも、ド偉いベッピンを連れている!
この男は本当に腹が立つ!
「おいおい…ヒョロいニィちゃんは女連れで冒険ごっこかぁ?」
俺の女を寝取ったヤローだ!
コイツのせいで俺はヒデー目にあってんだ!
目の前でテメーの女をブチ犯してやる!!
「ここにはお宝があるらしいが、おめぇみてーなモヤシには無理だぜ!」
俺の言葉にシカトして通り過ぎようとしたので、ツレの女の尻を撫でてやった。
これから楽しませてやる事への挨拶代わりだ。
「きゃ!」
「ネェちゃん、良いケツしてんな!そんなヒョロいのじゃ無く、俺のぶっといので良くしてやんぜ!」
俺は自分の尻を押さえこちらを振り返る女に手を伸ばす…次の瞬間!
俺の左頬へ強烈な衝撃が迸る!!
記憶はそこで終わった。
何が起きたのか判らない…
気が付くと俺は数人の荒くれ者共に囲まれていた。
「おう、気付いたか!こんなモンスターもいない洞窟で誰にやられたんだ!?」
左頬が激しく痛い!
どうやらあのヤローにやられた様だ…
「ムカつくヤローに不意打ちを食らったんだよ!!」
俺の言葉を聞き荒くれ共は盛大に笑ってやがる!
笑い事じゃねぇ!
ムカつくヤロー共だ!!
「まぁ、いい…この洞窟にお宝があると聞いて来たんだが、その不意打ちヤローがかっさらって行った様だ…何もねぇ!!」
クソッ!あのヤロー…また俺から奪いやがった!
必ず殺してやる!
「俺達はカンダタ一家。おめぇー名前は?これからどうすんだ?俺達と来るか?」
カンダタ一家!?
フン!おもしれぇ………
「ああ…俺はジャイー。俺も仲間に入れてくれ…」
「構わねぇーが一番下っ端だって事を忘れんなよ!」
今は下っ端でいてやる…だが、いずれ盗賊団を奪ってやる!
ジャイー一家に変えてやる!!
<世界の某所>
俺がカンダタ一味になってから数ヶ月。
俺には盗賊が肌に合っている様だ。
人生最高に幸せな毎日を送っている。
俺達のやっている事は単純だ。
ルラフェンで俺がやっていた事を大規模にした様なもんだ。
町から町へ渡り歩く行商人を襲い、金品を奪う。
女がいれば持ち帰り、全員で死ぬまで犯す!
中には死んでから犯すヤツもいる。
俺達は同じ土地に長居はしない。
一定期間そこで稼いだら、別の土地へ渡り歩く。
カンダタ親分が海を渡りグランバニア地方へ行くと言ってきた。
何やら仕事を請け負った様だ。
何でも何処ぞの王族を殺すのが仕事らしい…
俺好みの仕事なので率先してやる気を見せる事にする。
<グランバニア地方>
試練の洞窟と呼ばれる洞窟入口で、カンダタ親分と俺達10人は身を潜めてターゲットの到着を待っている。
親分が言うには、洞窟の一番奥で殺しモンスターに死体を食わせる必要があるらしい。
めんどくせー事だ…
暫くすると男が一人で洞窟へ入っていった。
紫のターバンを巻いた男…とても王族に見えない男…アレはあの男だ!!
俺から全てを奪った男だ!!ヤローが王族!?
仕事じゃ無くたってあの男を殺してやる!!
今日は最高の日になりそうだ!
俺達はヤローの後を追い洞窟の一番奥まで辿り着いた。
「おっと!ここを立ち去るのは、待ってもらおうか!」
気の抜けた歌を歌っていた男に親分が怒鳴り付ける。
さすがはカンダタ親分…俺に向けて怒鳴っている訳では無いのにも拘わらず、思わず緊張してしまう程の声だ。
「何ッスかぁ?」
しかし、ヤローは緊張するどころか間抜けな返事で返してくる。
「あ!?もしかして…アンコール希望ですか!?う~ん、忙しいので1曲だけなら披露しますけど…」
コイツは王族として生まれ育ち、何一つ苦労することなく育ったに違いない。
我が儘いっぱいに育ったんだ!
許せねぇー!!
「ちげぇーよ!あんたにその証を持って帰られると、困る人がいるんだよ!」
「そう!然る止ん事無い方からの依頼で、オメーを殺しに来たんだよ!」
「うるせーぞ!テメーら!!余計な事言うんじゃねー!」
親分の怒号が飛ぶ。
「あの~…」
しかし男は緊張感無く話しかける。
「おサルさんがどうしたんですか?」
「は?」
何言ってんだ?コイツ!?
「イヤ…さっき、サルがどうのって…」
「然る止ん事無い方だ!誰も動物のサルの事なんか言ってねぇ!」
とんでもねぇ~馬鹿だ!
「あぁ…で、僕を殺して何になるんですか?」
「オメーが王様になるのを阻みたいんだよ!」
俺は自分の気持ちを思わず吐き出した。
「馬鹿だなぁ、君達は…」
馬鹿はテメーだろが!!
「僕の奥さんは妊娠中なんですよ。僕が死んでも、男の子が生まれたら無条件で王様じゃないですか。君達のやっている事は全くの無駄だね!」
「だったら、オメーの嫁さんとガキも一緒に始末すればいいじゃねぇーか!」
そんときゃ俺が犯し殺してやるよ!!
「がははは、ちげーねぇー!」
俺達は揃って大爆笑をしてやった…が、俺の視界に俺の身体が移り込む。
首から上が無くなり、血を吹き出している俺の身体が………
そして何も見えなくなった………いったい何が………?
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