ある晴れた日に
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341部分:白銀の月その六
白銀の月その六
「ちゃんとな」
「おっ、速いな」
「もうかよ」
「凛に送ったからよ」
送った先は彼女なのだった。
「これで大丈夫だな。ついでだから少年と奈々瀬本人にも送っておくか」
「そうね。そうした方がいいわね」
茜がそれに賛成して頷いてきた。
「やっぱり三人にね」
「だよな。ぽちっとな」
茜に頷くとすぐだった。
「送ったぜ。これでいいよな」
「ええ、それでいいわ」
茜はその春華に対してまた頷いた。
「じゃあ後はコースターのところに向かうだけね」
「よし、じゃあ行こう」
竹山も皆に言う。
「早速ね。とはいっても」
「二人に見つからないようにね」
桐生はそれをまず警戒していた。
「こっそりね。それで行こう」
「よし、じゃあこっそりとな」
「行くか」
こう言いながらそれぞれ物陰や木陰から出る。そうしてそのうえで周囲、とりわけ二人を見る。二人はコースターの方に二人並んで歩いていた。
その後ろ姿を見て。野茂と佐々が言う。
「何かお化け屋敷に行くよりな」
「仲よくなってるよな」
皆で言い合うのだった。
「そうだよな。やっぱりな」
「何かあったのかよ」
「お化け屋敷だからよ」
その二人に対して恵美が言う。正道達を見ながら。
「あそこに入ったからよ」
「それであんなに仲良くなるのかよ」
「それだけでかよ」
「それだけじゃないわ」
しかし恵美はそれだけではないとも言う。
「それだけじゃね」
「っていうと仲で何かあったな」
「あそこはまた特別怖いからな」
彼等もまたあのお化け屋敷がどういったものかよく知っていた。とにかくここの怖さは全国的に知られている。だからこそ知らない筈がないのだ。
「だからよ。そこで何かあったのよ」
「あれっ、未晴ってよ」
「そんなに怖がりじゃないわよ」
「そうよ」
だがここで春華と静華、咲が言うのだった。
「だから音無にすがりつくとかよ」
「そういうのはないわよ」
「絶対にね」
「それはそうだと思うわ」
恵美はここでは三人のその言葉に頷いた。
「未晴はね。しっかりしてるから」
「じゃあ何でなんだよ」
「話矛盾してねえか?」
今度は坪本と佐々が恵みに突っ込みを入れた。
「それで何で仲が進展するんだよ」
「女の子がすがりつかないでよ」
「女の子だけじゃないからよ」
しかし恵美はこう言うのだった。
「女の子だけじゃね」
「っていうとあれかよ」
「彼だよね」
野本と桐生がここで気付いた。
「あいつが頑張ったんだな」
「それでああいうふうになったんだね」
「それよ。多分ね」
断定は避けたがそれでも言った恵美だった。
「それでああなったのよ。中でね」
「それでかよ。成程な」
「お化け屋敷の効果って凄いね」
「ええ。これは私も予想していなかったわ」
恵美もそこまではなのだった。
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