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ある晴れた日に

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340部分:白銀の月その五


白銀の月その五

 正道は未晴をそのまま抱き締めてそのうえで出口に向かった。そうして出ると急に明るくなる。その眩しさに目が眩みそうになる二人だった。
「出るとね」
「ああ、ちょっとな」
 二人はその眩しさにまず目を瞑ってしまった。
「この明るさがな」
「困るわね。けれど」
「けれど。何だ?」
「やっと出られたわね」
 今度は微笑んで正道に言うのだった。
「長いようで短いけれど」
「長かったか」
「そんな気がするわ」
 微笑みながらの言葉だった。
「この長さがちょっとね」
「俺はそんなふうには思わなかったな」
 しかし正道はそうではなかった。
「短かったな」
「短かったの」
「あっという間だった。本当にな」
「私は中にいる間は長かったわ」
 こう言うのである。
「けれどね。今は」
「違うか」
「終わったらあっという間ね」
 そしてまた微笑んで正道に告げた。
「終わってみるとだけれど」
「やっぱり中が怖かったんだな」
「それもあったけれどずっと続いて欲しくもあったし」
「ずっとか。あんな怖い中が」
「怖くてもなのよ」
 それでもだというのである。言葉は矛盾しているようであったが未晴の中では矛盾していなかった。むしろ自然に合わさっているものであった。
「それでも。二人だったから」
「二人か」
「ええ。だからまた二人で行きましょう」
 正道に顔を向けて告げた。
「二人でね」
「それでいいんだよな」
「そうよ。二人でね」
 笑顔で話していく。そうしてそのうえで今度はジェットコースターに向かう。皆はやはりそれも見ている。勿論物陰に隠れてである。
「よし、行ったな」
「そうね」
 その二人を見ながら話をしている。
「あの行き先はジェットコースターか」
「よし、じゃあ呼ぶぜ」
 春華は早速懐から携帯を出してきて皆に言うのだった。
「あの三人な」
「ああ、場所はジェットコースターの前な」
「そこに集まるか」
「ここだと奈々瀬絶対に来ないからな」
 春華は言う。これはもうわかっていることだ。
「だからよ。向こうにするな」
「そうだよな。しかし橋口もなあ」
「結構困ったところあるよな」
「なあ」
 男組はここで顔を見合わせて言い合う。
「怖がりっていってもよ」
「極端だよな」
「そうだよね」
「いいじゃない。誰にだって苦手なものは一つ位あるわよ」
「そうそう」
 静華と咲がここで奈々瀬を庇ってきた。
「奈々瀬だってそうよ」
「それに向こうには少年と凛もいるし」
 その一緒にいる二人のことも話すのだった。
「だからよ。絶対に呼ばないと」
「合流しないとね」
「ほい、メール送ったぜ」
 春華のメールの入力は極めて速かった。
 
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