ある晴れた日に
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321部分:その日からその十七
その日からその十七
「やっぱり」
「それに悪い意味で滅茶苦茶目立つしな」
悪いことには悪いことが重なる。本人だけが自覚していない。
「まあおかげで他の連中もよくわかるけれどな」
「春華も静華もいるし」
「男連中も全員いるな」
「少年と凛よね、あれ」
「またいちゃいちゃしてやがるな、全く」
二人もなのだった。とにかく全員揃っていた。一応メリーゴーランドとゴーカートに散っているが一人に気付けば全員に気付いてしまった。
「どうする?それで」
「どうするって?」
「だからだよ。デートだよ」
正道が言うのはこのことだった。
「デート。続けるか?」
「続けるしかないんじゃない?」
未晴はここでも困ったように笑ったように言うのだった。
「だって。今止めてもよ」
「あの連中が五月蝿いな」
「絶対に最初から最後までついて来るわよ」
「というか最初からついて来てたな、あれは」
正道はそのことに今更ながら気付いたのだった。
「それこそ待ち合わせ以外な」
「そういえば皆今日に限ってメール送ってこないと思ったら」
未晴はふとしか感じでこのことに気付いたのだった。
「それでだったのね」
「ああ、あの五人いつもメール送って来てるのか」
「実はそうなのよ」
また語るのだった。
「もう五人のメールがいつも来るのよ」
「それが今日に限って来なかったのか」
「普段は一人当たり五通は来るけれど今日はおはようの一通だけだったのよ」
何だかんだ言ってメールは送ってきているのだった。
「一通だけね」
「それでもメールは送ってくるんだな」
「私も送ってるし」
くすりと笑っての言葉である。
「それでだけれどね」
「まあそれでだと気付くこともないか」
こんなふうにも思う正道だった。
「やっぱりな。それだったら」
「まあとにかく。来てるのは仕方ないから」
未晴はもうそれはいいとするのだった。
「それはね。だからやっぱり」
「続けるんだな」
「ええ。折角のはじめてのデートじゃない」
今度はにこりと笑っている未晴だった。
「やりましょう。皆のことはそのままでもいいじゃない」
「鬱陶しいぞ」
またここでその皆をちらりと見る正道だった。やはり皆二人の方をちらちらと見てきている。しかしそれはもうあからさまに怪しいものにしか見えなかった。
「それもかなりな」
「まあいいわ。気にしなかったら目に入らなくなるわ」
「また随分と思い切ったことを言うんだな」
「女は度胸って。これは咲の言葉ね」
咲のことを気付いていないふりをしてちらりと彼女を見ての言葉だ。
「だからここは私もね」
「じゃあ俺もそうするか」
正道もまた腹を括ってきたのだった。
「それでな。やるか」
「いいのね。音橋君も」
「いいさ。乗りかかった船だよ」
腹を決めれば後は一直線であった。道は一つしかなかった。
「こうなったら最後までやろうぜ」
「そうね。じゃあコーヒーカップの次は何処に行くの?」
「ミラーハウスなんかどうだ?」
少し考えてから述べるのだった。
「迷路な。どうだ?」
「あっ、いいわね」
未晴も笑顔でそれに応えてきた。
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