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ある晴れた日に

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320部分:その日からその十六


その日からその十六

「何か気が合うしね」
「そうだね。それじゃあ」
「じゃあ俺達は」
「だよな」
「御前とな」
「いつも通りな」
 野茂は坂上と、坪本は佐々とだった。中学の時からの組み合わせがここでも再現される。
「じゃあ私達はね」
「それでいいわね」
 茜と恵美は互いの顔を見て微笑み合った。
「そういうことで決まりね」
「宜しくね」
「じゃあよ、うち等もよ」
「そうなるわね」
 春華と奈々瀬がまず決まった。
「それで千佳こっちに入って」
「三人でもいいわよね」
 咲と静華はあぶれそうになった千佳を招き入れた。これで組み合わせは決まった。
「じゃあこれで決まりね」
「そうだね」
 桐生が茜の言葉に頷く。
「何か決まる時はあっさりだったね」
「世の中そんなものよ」
 茜はここで随分達観したような言葉を出した。
「決まるまでは大騒ぎしても実際に決まるとなるとね」
「あっさりなんだ」
「そういうものよ。とにかくこれで話は決まりよ」
 彼女はまた言った。
「じゃあ。これで二つに分かれてね」
「まああれね。男ばかり、女ばかりだとやっぱり不自然だから」
 恵美も加わって言う。
「適当に混ざってね。いきましょう」
「まあカップルじゃないのならね」
「それでいいぜ」
 こうして適当に二つに分かれるのだった。皆それでメリーゴーランドとゴーカートに分かれる。そうしてそのうえで二人の様子を見るのだった。
 その頃当の二人は。コーヒーカップの中に向かい合って座りながら。そのうえで話をするのだった。
「何か視線感じない?」
「そういえば何かな」
 やはり彼等もそれは感じているのだった。未晴は微妙な顔になって周囲を見回していた。
「何か気になる人がいるけれど」
「んっ!?そういえば結構怪しい人間いないか?」
 二人はその周囲にいる変わった人間に気付いた。
「メリーゴーランドにいるあの二人って」
「そういえばゴーカートにも」
 見れば確かにいた。
「あれって少年と凛なんじゃ」
「あのでかいのと細いのは加山と桐生か?」
 見ればすぐに見破れるものであった。
「何か見れば他にも」
「皆いるのかよ」
 ここで遂にわかってしまったのだった。
「しかもこっち見てるし」
「あれ咲よね」
「間違いないな」
 メリーゴーランドにいる彼女にも気付いたのだった。
「あの緑の帽子とピンクハウスの服はな」
「あの格好は咲しかしないわ」
 皆彼女のことが本当によくわかっていた。
「あれ南海ホークスの帽子よ」
「今時そんな帽子よくあるな」
 正道もそれを見て目を顰めさせるばかりだった。
「一体何処で手に入れたんだ?」
「何か教会で貰ったらしいけれど」
「その天理教の教会でか?」
「ええ。他にはダイエー時代の帽子も今のソフトバンクの帽子も持ってるけれどね」
「そういえば春の山の中じゃダイエーホークスの頃の帽子だったな」
「似合うけれどピンクハウスには合わないわよね」
 それはもう誰が見てもであった。
 
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