ある晴れた日に
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315部分:その日からその十一
その日からその十一
「あんなに大人しいなんてね」
「面白くないわよ」
「むしろ御前等の方がいちゃいちゃしてねえか?」
佐々は少し引きながらその二人に対して告げた。
「手まで握り合ってよ」
「これ位普通よ」
「ねえ」
しかし二人はその握り合い絡め合ったその手をそのままにして佐々に返すのだった。
「女の子なんだし」
「皆やってるわよ」
「そうか?」
「違うと思うけれど」
坪本と桐生はそれを聞いても信じていなかった。
「御前等だけだろ?」
「それって」
「だから違うわよ」
「それはね」
しかし二人はあくまで言い張るのだった。
「私だって恵美や茜といつもこうだし」
「私もよ」
「手握り合って絡み合うのがか?」
「嘘だろ」
しかし坂上も野茂も信じない。
「絶対に違うだろ」
「幾ら何でも手を絡め合うのは」
「少年の手って小さくてとても柔らかいのよ」
凛はにこにことして明日夢の手を握ったまま話した。
「おまけに暖かくて」
「夏に暖かいのは嫌だろうがよ」
野本も真顔で引いていた。
「っていうかマジでできてねえか?」
「できてないわよ」
「ねえ?」
二人はにこにことした顔を見合わせ言い合いながらそれを否定する。
「健全な仲よね」
「そうそう」
「本当?」
竹山が怪訝な顔で二人の横に座っている春華に訪ねた。
「これって」
「いや、どうかな」
しかし春華は彼の今の問いに真剣に戸惑う顔を首を傾げるのだった。
「最近うちも怪しいって思うんだけれどな」
「だって最近の凛ってね」
「明日夢も」
奈々瀬と茜も言う。
「少年といることやたら多いし」
「二人で何処かに消えたりするしね」
「やっぱり怪しいよな」
「なあ」
男組はそれを聞いて真剣に二人の仲を疑った。
「何処かに消えるって何なんだよ」
「何してんだよ」
「だから別に何もないわよ」
「普通に仲良くしてるだけだし」
今度は抱き合いはじめた。
「こうやってね」
「私達は仲いいだけだから」
「じゃあ抱き合うのは止めた方がいいよ」
加山がそんな二人にそっと忠告してきた。
「それも電車の中だとね」
「だから女の子だったらこんなの普通なのに」
「別にいいじゃない」
「ちょっと。行き過ぎだと思うけれど」
千佳も控えめであるが注意してきた。
「抱き合ったりするのはね」
「だからそれ普通よね」
「ねえ」
しかし明日夢と凛はそれでも言い合うのだった。
「私達別におかしなことしてないし」
「普通よ、普通」
「いや、見てるだけで物凄くいやらしいよ」
桐生はまた二人に突っ込みを入れた。
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