ある晴れた日に
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313部分:その日からその九
その日からその九
「あれはね」
「ドカンかよ」
「言われてみればそんな形だな」
佐々と野茂は春華のそのズボンを見てまた話す。
「で、遠藤は豹柄のスパッツかよ」
「あれもねえな」
「凛も・・・・・・うわ」
明日夢は思わず声をあげてしまった。
「ピンクのラメ入りの上着って。ジェニーズじゃないんだから」
「最悪だな、あいつ等」
「俺等よりひでえぞおい」
坂上も坪本も言い合う。とにかく皆五人の服には唖然としていた。
「まあ竹林が気付いてないならいいけれどな」
「そうだよね。気付かれなかったら問題ないから」
竹山は野本の言葉に頷いていた。
「それでね」
「で、今からあの五人と合流だよな」
野本は今度はこのことを皆に話した。
「行くか?そろそろ」
「あっ、それでだけれど」
茜はまた自分の携帯を見て皆に告げてきた。
「五人共お金は後で出すからハンバーガー頂戴って」
「ああ、それなんだ」
桐生はそれは何でもないといった調子で受けた。
「じゃあとりあえずお金は僕が出すから」
「チーズバーガー五つにコーラ五つだって」
茜は携帯の画面を見続けながら話すのだった。
「それだけ欲しいって」
「わかったよ。それじゃあ」
こうしたやり取りの後で皆は五人と合流した。彼等は駅前の木陰に隠れながら二人を見守るのだった。しかし大人数でおまけにとんでもない派手な格好なので目立って仕方がなかった。
「お母さん、何か派手なお兄ちゃんとお姉ちゃん達がいるよ」
「あれは頭が可哀想なお兄ちゃんとお姉ちゃん達なの」
母親が彼等を指差して言う子供達に話していた。
「見たら駄目よ」
「うん」
こんなやり取りをしてから去る母子だった。凛はそのやり取りを聞いて去っていく子供達を見据えながら一同に対して言うのだった。
「あれってあんまりじゃない?」
「っていうかあんたの服確かにあんまりだから」
明日夢も言葉がなかった。
「私も人のこと言えないけれどね」
「大体服は目立ってナンボじゃない」
凛はそのピンクのラメ入りの上着を見せながら話す。
「だからあえてこの格好なんだけれど」
「それでも普段からその服じゃねえか」
「ったくよ、何でこのクラスの人間って全員服の趣味が悪いんだ?」
皆が皆そうなのだった。
「とにかくよ。二人共な」
「そうね。話してるわよ」
見ればその通りだった。正道と未晴は噴水のところで楽しそうに談笑している。そのうえで二人手をつないで駅に向かっていた。
「あっ、行ったわ」
「そうだな」
「私達も行きましょう」
皆そんな二人を見てすぐに追いかけた。ぞろぞろと派手な格好の面々が動くのはそれだけでかなり目立つ。しかしそんなことはもう構わなかった。
正道と未晴はそのまま電車に乗った。皆もであったが流石に同じ車両には乗らない。隣の車両の入り口のところに貼り付いてそのうえでガラス越しに二人を見ていた。
「ちっ、電車の中じゃ何もなしか」
「楽しくお話してるだけね」
「それだけかよ」
皆その入り口の辺りに貼り付いてそのうえで話していた。
「何かよ、電車の中でもぐっとやれよな」
「そうそう、そうじゃないと面白くないじゃない」
「何がデートなんだよ」
「ったくよ、進まない話だな」
「どうなんだよ」
そして不平まで言うのだった。
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