ある晴れた日に
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305部分:その日からその一
その日からその一
その日から
その日正道と未晴以外の一同はまた猛虎堂に集まっていた。そうしていつものように暴飲暴食そのものの宴会を開いていたのであった。
「で、今日はこれね」
「ハンバーグ」
皆一キロはあるとてつもない大きさのハンバーグを食べていた。そのハンバーグの上にはチーズやら目玉焼きやらが乗っている。そういったものがハンバーグの食欲をさらにそそらせるものにしていた。
「あんたの店のハンバーグもかなり大きいわね」
「それが自慢なんだよ」
佐々は皆の問いに厨房の中から胸を張って言っていた。
「うちの店のな」
「安くて美味くて量が多い」
野本はそのハンバーグをフォークとナイフで乱暴に切りながら言っていた。
「やっぱりこれだよな」
「そうだよ。食い物ってのはそうじゃないと駄目なんだよ」
「おうよ、その通りだ」
佐々の言葉に応えながらさらにそのハンバーグを切ってそれを食べていく。
「わかってんじゃねえかよ、流石だな」
「まあ食べ物の基本ね」
明日夢は今の佐々の言葉に大いに頷いていた。
「そうじゃないと駄目よ。それにしてもこのハンバーグ」
「どうした?」
「ソースかなりいいわね」
食べながらそれを感じ取っていたのだった。
「このソース。玉葱滅茶苦茶いいじゃない」
「肉には玉葱だからな」
佐々はここで言葉を真面目なものにさせた。
「だからだよ。玉葱は遠慮なく使うんだよ」
「そういうことね」
「その通りさ。あとは大蒜もな」
それもだというのだ。
「使ってるぜ。あとそっちはどうだ?」
彼はここでハンバーグと一緒に出されているその白い山盛りのものを見て皆に問うた。
「マッシュポテトよ。どうだ?」
「いいんじゃない?」
「美味しいわよ」
咲と茜がそれに応える。
「こっちもこれで」
「かなりいい具合よ」
「ジャガイモも肉と合うんだよな」
佐々は皆がそのマッシュポテトもどんどん食べているのを見て機嫌をさらによくさせていた。
「全体にドイツ風だけれどな」
「で、黒ビールなのね」
「それでか」
恵美と野茂がその黒ビールを大ジョッキでやっていた。
「確かにこの組み合わせは最強ね」
「ハンバーグとビールもな」
「他にはソーセージもいいけれどね」
「それも最強だな」
凛の言葉に坂上が頷く。二人はハンバーグをフォークで口の中に入れている。
「何だかんだでビールって結構色々なのに合うのよね」
「その中でも黒ビールはいいよな」
十五か十六で黒ビールの味を知っているのだった。この面々は。
「うちのお店でもあれなのよ。黒ビール売れるのよね」
「そうなんだよな。入れたらすぐに売れるんだよ」
佐々は明日夢の今の言葉に頷いた。
「あっという間にな」
「美味しいからね、黒ビール」
「やっぱりいいんだよ、これ」
静華と坪本はもう顔を真っ赤にさせてジョッキにその黒ビールを注ぎ込んでいた。立ち上がってビール入れから注ぎ込んでいるのである。
「飲んでると病みつきになってね」
「幾らでも飲めるな」
「夏はビールだよビール」
「食べるものは色々でいいけれどね」
春華と桐生は二人並んで完全に出来上がっていた。
「もうこれねえと生きていけねえぜ」
「だよね。夏はビールの為にあるんだよ」
「それはいいけれど御前等最近飲む時ビール何リットル飲んでるんだ?」
佐々はさりげなくそんな彼等に対して尋ねた。
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