ある晴れた日に
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300部分:空と海その三十三
空と海その三十三
「友達だから。やっぱりね」
「何かあったら許さないか」
「そうよ。絶対幸せになって欲しいし」
言葉は飛躍さえしていた。
「泣かしたりしたら許さないから」
「誰でもか」
「そうよ。音橋君でも許さないから」
言葉は確かに本気のものであった。
「そんなことしたらね」
「あの五人を泣かすのか」
正道は未晴の言葉を聞きながらふと顔をあげた。
「それはちょっとな」
「絶対にしないでね」
「うちのクラスの女連中全員そうだがかなり難しいな」
これに関しては五人だけではないというのだった。
「殴ったら殴り返してくるタイプだろ?全員」
「まあそれはそうだけれど」
これは彼女も否定できなかった。またついつい苦笑いになってしまっている。
「それでもね。女の子よ」
「それはわかってるさ」
言うまでもないことではあったが。
「まああの連中はあの連中で女らしいか」
「結構以上に引っ掛かる言葉だけれど」
「まあ気にしないでくれ」
「気にするなって言われても」
それでも言いたい未晴だった。
「咲達ってそんなに悪い娘じゃないわよ」
「悪い奴等じゃないのは確かだな」
それは彼もわかってはいた。
「悪い奴等じゃな」
「それに女の子らしいのよ」
未晴はさらに彼に話すのだった。
「あれでナイーブだし」
「ナイーブか」
これは正道にはとてもそうは思えないことであった。だからつい言葉に出してしまった。
「あの連中が」
「やっぱり信じられない?」
「バリケードなら信じられる」
そしてこう言うのだった。
「あいつ等がそれだったらな」
「バリケードって」
流石に今の言葉には突っ込まずにいられなかった。
「そんなにあれに見えるかしら、咲達って」
「あいつ等だけじゃなく他の連中もな」
正道はここで話をさらに拡大させてきた。
「北乃とかあの連中もな」
「少年とか茜ちゃんもなの」
「安橋は違うか」
彼は違うというのだった。
「あいつはな。違うな」
「メグちゃんはね。しっかりしてるし」
「メグちゃん!?」
今の呼び方に思わず声をあげてしまった正道だった。
「何だ、その言い方は」
「最近女の子の間でこの仇名になってるけれど」
「そうか。しかしな」
「イメージ通りじゃないとか?」
「全然イメージじゃない」
彼は確かに言った。断言を。
「あいつがメグちゃんか。イメージとここまで離れるとな」
「春華が名付けたのよ」
ここでまたこの名前が出てきた。
「ふと思いついたみたいに言って」
「またあいつか」
正道はそれを聞いて呆れたように述べた。
「あいつも仇名つけるの好きだな」
「他にはお酒とバイクも好きよ」
「それでナイーブなのかよ」
「皆ナイーブよ、本当に」
未晴の今の言葉は正道には擁護に聞こえるものだった。しかし未晴はまだ言うのだった。少なくとも彼女は擁護しているつもりはないようである。
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