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ある晴れた日に

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292部分:空と海その二十五


空と海その二十五

「ついでにこれがベイスターズの宣伝になればいいんだけれど」
「私はそこまではいかないけれどね」
「けれど今年も春からぶっちぎりで」
「物凄い勢いで逆走してるじゃない」
「ここから奇跡の大逆転よ」
 こう言っているのは明日夢だけである。
「もうね。ここから黄金時代がはじまるから」
「それはない」
「絶対にねえ」
 しかし皆これは速攻で全否定する。
「どうやってあんな状況で黄金時代になれるんだよ」
「したければ親会社代えるか星野さん呼べよ」
「うう、そこまで言うのね」
 流石の明日夢もここで遂に怯んだ。
「ベイスターズの何が悪いのよ」
「悪くはないけれどな」
「まあ巨人じゃないと」
 ここでも巨人のことが言われるのだった。何処までも巨人が嫌いな一同であった。
「別にいいけれどね」
「実際ベイスターズコーナーはいいさ」
 スタープラチナのカウンターがまさにそれなのである。壁には試合状況がリアルタイムでスコアで示されておりマスコットのホッシーもあればベイスターズの旗も飾られている。ついでに言えば明日夢もよくベイスターズの帽子を被って店の中にいたりする。
「それでも。優勝は」
「最下位脱出から考えたら?悪いこと言わないから」
「つまりそこまでうちは弱いってことなのね」
「はっきり言ってな」
「今年こと百敗いくんじゃないの?」
「いかないわよ、多分」
 それはとりあえず否定はした。憮然とした顔で。
「そんなの幾ら何でも」
「けれどねえ。今んところ勝率二割五分いってないみたいだし」
「このままいったら記録達成?」
 なおかつて勝率二割六分三厘で百三敗した記録もある。これはベイスターズのものではないがそれでも壮絶な記録ではある。
「目指してみる?こうなったら」
「縁起でもないわよ」
 明日夢はその言葉をムキにさせていた。
「そんなのね。何でそこまで負けなくちゃいけないのよ」
「だって面白そうじゃない」
「ねえ」
 しかし皆が気楽にこう言うのだった。
「折角だから記録目指してよ」
「いいんじゃねえの?それもかえって面白いぜ」
「面白いのは他人事だからよ」
 まさにその通りの今の明日夢の言葉だった。
「負けてるの見る方はたまらないのよ」
「しかもスタープラチナのびっくりメニューはえげつない組み合わせになるし」
「この前はビールにハヤシライスだったしな」
 やはり狙ったかのようなとてつもない食い合わせになるのだった。
「あれもなかったわよね」
「胸悪くなったわよ」
 それでも食べる咲達六人組であった。
「まあそれはそれでいいけれど」
「どう?少年」
 その話は置いておいてまた明日夢に話すのだった。
「ベイスターズのその記録」
「目指してみる?」
「そんな気は毛頭ないから」
 それはどうしても認めようとしない明日夢であった。
「どうせなら勝率九割よ」
「それもな。無理だろ」
「普通に有り得ないだろ」
 これはすぐに皆から否定されるのだった。それも見事なまでに完璧にだ。
「まあとにかく。野球はいいとしてよ」
「ああ」
「何だ?」
「ちょっと場所変えない?皆」
 それまで少し離れた場所で皆が遊んでいるのを見ていた未晴が皆に対して言ってきたのだった。皆それを聞いて彼女に顔を向けたのだった。
「ちょっとね」
「場所を変える?」
「それはいいけれどよ」
 皆まずはそれはいいとしたのだった。
 
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