ある晴れた日に
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290部分:空と海その二十三
空と海その二十三
「だからよ。夏はそういうチャンスじゃない」
「っていうとだ」
「そもそも彼氏いる柳本の水着が大人しいのはだよ」
「そういう意味もあるのよ」
咲本人もそれを認める。
「わかった?」
「よくわかりました」
「存じました」
男組はあらためてわざと畏まった態度になってみせて咲に対して頭を垂れるのだった。
「っていうと俺達は最初から」
「数には」
「入ってないわよ」
静華の言葉は今回も容赦がなかった。
「わかったわね。これで」
「まあ俺達もな。おめえ等が彼女だったらな」
「やりにくくて仕方ねえよ」
野茂と坂上の今の言葉には嘘も飾りも何一つとしてなかった。
「何かよ。友達付き合いならともかくなそうそう」
「友達ならいいのね」
恵美は彼等の言葉を聞いても冷静であった。
「それなら」
「まあそうだよな」
「それだとな」
坪本と佐々も言う。皆ビーチバレーというよりバレーボールでボールを交代で打ち上げているがそうしながら話をするのだった。
「別に気兼ねもしないしな」
「男と女だけれどな」
「それならそれでいいんじゃないの?」
明日夢はそのボールをレシーブしながら答える。
「友達でね」
「そんなもんかね」
「性別違ってもなんだ」
野本と桐生も言った。当然彼等も話には言っている。
「友達になれるんだな」
「男同士女同士だけじゃなくて」
「そう思うけれど?」
明日夢の言葉は飾りがないものだった。
「もっとも私中学からの友達女の子ばかりだけれどね」
「じゃあ男友達はこっちでできたんだね」
「そういうこと」
意外にも竹山もこのバレーの中に入っていた。明日夢は彼の言葉にも応えるのだった。
「別にそれでもいいじゃない。男の子でも女の子でも友達になれたらなって」
「そういうものか」
「それでもいいのか」
皆明日夢の話を聞きながらまた言う。
「男と女でもな」
「別に」
「違うかしら。それに実際に」
「実際に?」
「今こうして遊んでるじゃない」
明日夢が今度話したのは今のことであった。
「違う?」
「あっ、そういえば」
「確かに」
皆今の明日夢の言葉に男組だけでなく女組も頷いたのだった。
「そうよね。言われて見れば確かに」
「俺達ってな。何だかんだ言って」
「そういうことか」
正道も今はギターを置いてバレーに入っていた。ギターはすぐ見える場所に置いている。無論ケースに入れて直射日光は避けてである。
「何だ、もうそうなんだな」
「考えるまでもないのね」
「だからよ。皆で来てね」
そして明日夢の口調がここでふと変わった。
「スタープラチナにね」
「だから。それさえ言わなかったら」
「完璧なのに」
「にこにことして。商売気出して」
女組は明日夢の言葉に呆れた声で突っ込みを入れた。
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