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ある晴れた日に

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289部分:空と海その二十二


空と海その二十二

「だからそれはなしよ」
「じゃあ何する?」
「何かある?」
「ビーチバレーでもするか?」
 ここで提案したのは野茂だった。
「泳ぐのが駄目だったらよ。それでもするか?」
「ビーチバレー?」
「ボールあるよな」
「ああ」
 彼に応えたのは坪本であった。
「ちゃんとな。持って来てるぜ」
「おっ、じゃあいけるな」
 野茂は彼の言葉を聞いたうえでまた明るく話した。
「ビーチバレーな。あれなら多少酒入ってもいけるしな」
「だよな。それじゃあ」
「それすっか」
 皆それに乗ってきた。そうしてそのうえで飲み食いが一段落したところでゆっくりと立ち上がりそうしてそのうえでビーチバレーをはじめるのだった。チーム分けは適当だった。
「御前等皆半ズボンのままかよ」
「だってね。視線嫌らしいから」
「だからよ」
 女組は半ズボンをはいたままで男組に対してむっとした声で応える。
「あんた達のね」
「わかる?」
「あんた達の視線がいやらしいからよ」
「もうちょっと遠慮したら?」
「じゃあもっと大人しい水着にしろよ」
「なあ」
 男組も負けてはいなかった。見事な居直りであった。
「大体それだったら最初から半ズボンでいいだろ?」
「何で水着にしたんだよ」
「最初から飲むって決めてるから海に入ることできねえのによ」
 彼等にとっては飲むというのは何処でも大前提なのであった。とにかく飲まないと何もかもがはじまらないのがこの面々なのである。
「で、何で水着なんだよ」
「矛盾してるじゃねえか」
「わかってないわね」
 今の茜の口調はまさにこれだから素人は、というものだった。
「そこがね」
「何がわかってねえんだよ」
「おめえの言葉の方こそわからねえよ」
「水着は何の為にあるのよ」
 茜はそのあまり大きくはない身体と比べて大きな胸を突き出して言うのだった。赤いビキニからその胸がはちきれんばかりになっている。
「何の為なのよ」
「そりゃ泳ぐ為だよな」
「なあ」
「大外れよ」
 男組に対してはっきりと言い切るのだった。
「例えば。戦隊もののヒロインのスカートが短いのは」
「シンケンジャーズボンだぞ」
「平成の仮面ライダーも大抵ズボンだぞ。よくて半ズボンだぞ」
「とにかくよ」
 男組の今の突っ込みは強引にねじ伏せる茜だった。力技だった。
「それは何の為よ」
「スカートの中身見せる為だよな」
「あと脚とな」
「やっぱりこの連中最低だな」
「煩悩しかないのね」
「しかもあからさまな」
 春華、明日夢、凛が三連続で呆れた声を出した。
「じゃあ水着はだ」
「それか」
 しかしこれで男組もわかったのだった。女の子の水着がどういう意味を持っているのか。こうした話になればわかることであった。
「見せる為か」
「そういうことか」
「そういうこと。だから水着なのよ」
 茜はまた言うのだった。
「わかる?見せる為よ」
「で、それか」
「彼氏ゲットできるチャンスじゃない」
 茜の主張は終わらない。
 
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