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ある晴れた日に

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288部分:空と海その二十一


空と海その二十一

「春華の小さい頃の口癖なのよ」
「えっ、そうだったのかよ」
 奈々瀬の今の言葉を聞いて驚きの顔になる春華本人だった。
「うちガキの頃こんなこといつも言ってたのかよ」
「っていっても幼稚園のことよ。ちょっと何かあると楽しそうに言ってたのよ」
「そうだったのかよ」
 話を聞いてあらためて腕を組み考える顔になる春華だった。
「そんな癖があったのかよ。ガキの頃」
「自覚なかったの?」
「全くな」
 自分ではそうなのであった。
「なかったよ、そんなのよ」
「まあ子供の頃ってね」
「自分でも覚えてないし」
「そうなんだよな」
 皆その話を本人から聞いて言い合うのだった。
「俺達だってそういうのあるかもだしな」
「そういうものよね」
「とにかくよ」
 また春華が言う。
「とりあえず授業中は居眠りしないようにしておくか」
「コーヒーとか飲んだら?」
「チョコミントは?」
「だよな。そういうのだよな」
 咲と凛の言葉を受けながら真剣な顔になっていた。
「先生も呆れてたんだよな」
「呆れるどころか腹抱えて笑ってたよ」
 明日夢が答える。
「もうそのチキチキチキチキチキで」
「思いきり恥ずかしいな」
「でしょ?だから気をつけてね」
「ああ」
 今度は静華の言葉に頷いていた。
「まあ授業中にガムは流石にやばいからコーヒーなりチョコミントなりでやっとくな」
「二学期からね」
「だよな。失敗したなあ」
 首を捻りながら項垂れる始末であった。
「ったくよお。こんな姿クラスの連中以外には見せられねえぜ」
「あっ、その時の写真もうアルバムに入れたから」
 咲の今の言葉は最高の追い討ちだった。
「寝てる春華ってタイトルで」
「おい、それはねえだろうがよ」
 こうは言っても強い言葉ではなかった。
「それ一生残るだろ」
「だって面白かったし」
「ったくよお。本当に何でもアルバムに取っておくんだな」
「それが咲の趣味だし」
 アルバム作りが趣味の彼女ならではの言葉であった。
「嫌なら外しとくわよ」
「いや、別にいいさ」
 しかし春華はこう言うのだった。
「それはよ。もうアルバムに入れたんだろ?」
「ええ、そうよ」
「ならいいさ」
 こう言うのだった。
「別にな。それならいいさ」
「ありがと」
 今の春華の言葉に明るい笑顔で頷く咲だった。
「じゃあそういうことでね」
「ああ。ところでな」
 ここでまた話が変わるのだった。
「これからどうするよ」
「どうするって?」
「何時までもこうやってここで飲んで食ってもいいけれどよ」
 春華はその話を皆にするのだった。
「どうよ。何か他のことしね?」
「海に入ったら駄目よ」
 恵美は真面目な顔でそれは止めるのだった。
「酔って入ったらそれこそね」
「死ぬか」
「それで死んだ人多いから」
 海でよくある事故である。酔って泳ぐのはそれだけ危険なのである。身体が満足に動かないというだけでなく心臓麻痺を起こす可能性もあるからだ。
 
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