ある晴れた日に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
287部分:空と海その二十
空と海その二十
「御前等だっているしな」
「ボディーガードが五人かよ」
またこの五人であった。
「頭は悪くてもやる気はあるってか」
「厄介な話だからな」
「頭悪いってのは余計よ、余計」
咲はそこに苦い顔で突っ込みを入れる。
「咲達の何処が頭悪いっていうのよ」
「だって御前等マジで成績悪いしな」
「なあ」
実はそうなのだった。
「テスト前いつも竹林に教えてもらってばっかじゃねえかよ」
「そこまで頼るなよ、毎度毎度な」
「私はいいけれど」
未晴本人は微笑んで述べた。
「別に。こんなことは」
「まあ私達もね」
「ねえ」
この話になると明日夢と茜も苦笑いをして顔を見合わせていた。
「ちょっとね。人のこと言えないわよね」
「恵美が頼りだからね」
「このクラスの女連中って大体こんなのだよな」
「どいつもこいつも勉強しねえな」
実はそうなのだった。
「俺達も人のこと言えねえけれどな」
「ちょっと以上にな」
「学生の本分は勉強っていうけれどね」
桐生はこれまでの金的の話からは遠ざかっていたが勉強の話になると加わってきた。
「まあ程々でいいんじゃないかな」
「まあそうだけれどな」
「けれどね。何か嫌いなのよね」
見事な本音を言う奈々瀬だった。
「やるのって。居眠りもやっちゃうし」
「おめえ寝過ぎだよ、寝過ぎ」
春華は笑って今の奈々瀬の言葉に突っ込みを入れる。
「まあうちも人のこと言えねえけれどな」
「御前歯軋りするなよ」
「幾ら居眠りでもよ」
男組はこのことにも突っ込みを入れた。
「それだけはよ。授業中にギリギリやるのはよ」
「先生何て言っていいか困った顔してたぞ」
「そんなことあったのかよ」
男組に言われてやっと気付いたようであった。
「そんなことしてたのかよ、あたし」
「してたよ、もう静かな教室でギリギリってな」
「何なら携帯に録音してるけれど聞くか?」
坂上はここで携帯を出してきた。当然自分の携帯である。
「ここにな。寝言付きでな」
「寝言もあったのかよ」
「御前寝言も柄悪過ぎ」
今度は野茂が呆れた顔で突っ込みを入れる。
「ざけんじゃねえよとかよ。あとチキチキチキチキチキチキって何だ!?」
「チキチキチキチキチキチキ!?」
こう言われても首を傾げる春華本人だった。
「何だよ、それ」
「だから御前の寝言」
「授業中のな」
実際に携帯の録音を出すと確かに春華の声でそう言っているのだった。皆ここで爆笑であった。
「そうそう、それそれ」
「一瞬何かって思ったわよ」
「だからあたし知らねえよ」
春華は爆笑する皆の中でむっとした顔で述べた。
「こんなよ。チキチキチキチキってな」
「じゃあ何で言ったんだ?」
「俺達も不思議なんだけれどな」
坪本と佐々がその彼女に問うた。
「この言葉な」
「訳わかんねえんだけれどな」
「うちにもわかんねえ」
首を傾げてまた言う春華だった。
「何でそんな寝言言ったんだろうな」
「ああ、これね」
しかしここで奈々瀬が言うのだった。
ページ上へ戻る