| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ある晴れた日に

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

285部分:空と海その十八


空と海その十八

「そんなの。大袈裟よ」
「大袈裟じゃないんだよ」
 だが正道はその本人に対して言うのだった。
「これがな。真剣なんだからな」
「そうなの。本気で私を」
「軽い気持ちでこんなの言うかよ」
 正道の言葉の調子は変わらない。
「何があってもな」
「よし、言ったな」
「絶対に忘れないからね」
「若し約束を破ったら」
 五人はさらに彼に問い詰める感じになっていた。
「針千本じゃ済まないから」
「地獄行きよ」
「地獄か」
「未晴を泣かせる奴なんて何があっても許せないから」
 咲は腕を組んで口をへの字にさせてまで言い切るのだった。
「それこそ。もう何があってもね」
「さっきからその言葉多いな」
「それだけ本気なのよ」
 だからだというのである。
「だって。未晴だから」
「あんた達本当に未晴好きなのね」
 明日夢は五人のその気持ちをはっきりと感じ取って感心して言った。
「やっぱり小さい頃からの絆なのね」
「そうよ。幼稚園からよ」
「死ぬまで一緒なんだよ、一緒」
 凛と春華がとにかく強調する。
「その頃から未晴には助けてもらってるんだから」
「未晴泣かす奴はぎったんぎったんにしてきたからな」
「この連中ってこんなんばっかりだよな」
「だよな」
 正道以外の男組は五人の言葉を聞いてひそひそと話し合った。
「これだけ絆が強いってな」
「やっぱりないよな」
「私も未晴に何かあったらって思って」
 今度言ったのは静華だった。
「空手はじめたのよ。今じゃ黒帯よ」
「ああ、それ竹林守る為だったのかよ」
「それでかよ」
「自分の為だったらここまでしないわよ」
 言いながら軽く空手の技を軽く出したりしていた。両手だけではあるが。
「ここまでね。してないわよ」
「竹林の為だからか」
「そうよ」
 また言う静華だった。
「今度二段になるわよ」
「二段か。凄えな」
「口で言うのは一言だけれどな」
 勿論それだけではなかった。黒帯になるのはそれだけのものがある。皆もそのことはよくわかっている。だからこそ今ここで言うのである。
「凄いことになってるじゃねえか」
「しかも通信教育とかじゃねえよな」
「ちゃんと部活に入って道場に通ってよ」 
 胸を張るとその大きな胸が一層目立つが今はそれを無視して話す静華と聞く一同だった。
「身に着けたのよ。ちゃんとね」
「じゃあ竹林に言い寄る奴とかいたらどうするんだよ」
「もうその時はね」
 思わず足を出しそうになるが座っているのでそれは無理なので代わりに正拳を右手で出すのだった。
「こうしてやるわよ」
「容赦はしねえってわけかよ」
「急所攻撃だってするわよ」
 語る目が本気であった。
「もう速攻で潰してやるから、潰してね」
「怖いこと言うな」
「なあ」
 男組は今の静華の言葉に顔をいささか青くさせてしまっていた。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧