ある晴れた日に
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275部分:空と海その八
空と海その八
「あれよ。カメラよ」
「そうそう、それよそれ」
カメラと聞いて声をあげたのは咲だった。
「やっぱりね。海に来たらそれないとね」
「何だよ、水着の姉ちゃんでも映すのかよ」
「それって今やったら下手したらしょっぴかれるぜ」
「レズでもよ」
「あのね、あんた達さっきからそればかりじゃない」
咲もいい加減うんざりとした顔になって彼等に言うのだった。
「そういうのじゃなくてね」
「じゃあ何だよ」
「記念撮影かよ」
「それ以外何があるのよ」
その多少しゃくれた顎を前に突き出すようにして男組に言い返してきた。
「折角皆集まったんだし」
「ねえ」
静華が笑顔で咲の今の言葉に頷いた。
「ただでさえ咲ってアルバム作るの趣味なのに」
「だからよ。それもあってね」
「で、何で竹林がカメラなんだ?」
「それだと柳本さんだよね」
「ねえ」
「咲のカメラここに行く途中でフィルム切れたのよ」
困った顔になって男組に答える咲だった。
「結構写真撮ったから」
「ああ、そういえばおたく何かやたらと写真撮ってたな」
正道もここでのことに気付いたのだった。
「あれこれって女同士でな」
「そうしたらフィルムなくなって」
「って一体何枚撮ったんだよ」
「なくなるまでってよ」
「二十枚じゃ効かないわよね」
「そうね。絶対にね」
凛が今の咲の言葉に頷く。
「四十枚は撮ったんじゃないの?」
「ここに来るまでにそんだけか」
「どんだけ撮ってるんだよ」
「それでなくなったの」
これで真相がわかった。
「残念ながら」
「やれやれ、そんなことかよ」
「ったくよ、いつものパターンだな」
佐々も坂上も呆れた声で述べた。
「で、また竹林のフォローかよ」
「本当によ。御前等あいついないと生きてけないんじゃねえのか?」
「っていうと私達も?」
「うち等もかよ」
奈々瀬と春華はすぐに今の二人の言葉が自分達へのものだと察した。
「それ心外だけれど」
「何かいつも未晴に頼ってるみてえじゃねえか」
「みてえか、じゃないよな」
「だよな、どう見ても」
今度の選手は坪本と野茂だった。
「もう完璧にな」
「そうとしかな」
「確かに頼りにしてるけれど」
「そこまでいかないわよ」
静華と凛は一応こうは言いはするが分が悪かった。
「未晴大好きだし助けてもらってるけれど」
「生きていけないなんてことは」
「確かに未晴はお母さんだけれどね」
茜がそっと五人のフォローに回ってきた。
「まあそれでも。生きていけないってところまではいかないわよ」
「けれどよ。こいつ等本当にいい加減だぞ」
「いや、あんたが言っても」
明日夢は速攻で野本に突っ込みを入れた。
「キングオブいい加減なのに、あんた」
「俺はそっちの王様だったのかよ」
「自覚ないの?」
「ねえよ」
たまりかねた顔で明日夢に言い返す野本だった。
「何でそんなのあるんだよ、おい」
「だから進歩ないのね」
「そうなんだ、実は」
竹山も彼には言うのだった。
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