ある晴れた日に
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269部分:空と海その二
空と海その二
「日の光に当たれば弱るなんてよ」
「人間だよ。ちゃんとした」
「じゃあ日に当たれよ」
野茂も参戦してきたのだった。
「ちゃんとよ。それでマッスルになれよ」
「俺みたいによ」
調子に乗ってきた坪本まで参戦する。
「バイク乗ってたらそれこそ筋肉ついて仕方がないぜ」
「バイクね。そういえば最近」
「何だ?」
「八条大学でサイドカーをよく見るよね」
竹山はふとこんな話をはじめたのだった。
「街のあちこちでも。黒と銀のカラーリングのね」
「ああ、そういやそうだな」
坪本も竹山のその言葉に頷いて応えた。
「最近な。そのカラーリングのサイドカーよく見るよな」
「僕あれはいいと思うんだ」
「サイドカーはな」
ここで坪本は考える顔になって述べるのだった。
「あれ格好いいんだけれどな」
「じゃあ何時か買うの?」
「それよりあれだな。ハーレー欲しいな」
彼がそれがいいと言うのだった。考える顔で腕を組んでだ。
「あれはやっぱり男のロマンだぜ、ロマン」
「あんたも好きだなあ」
春華は坪本のそのこだわりを見て呆れたような、それでいて感心したような笑みを浮かべて言うのだった。
「ハーレーかよ。ここで」
「悪いかよ、ハーレーで」
「やっぱりカワサキだろ、カワサキ」
春華はそれを出すのだった。
「もうよ、あれでかっとばすのが最高にいいんだよ」
「って御前バイク乗ってるのかよ」
「ああ、そうだよ」
胸を誇らせて言うのだった。
「誕生日四月だったしな。もう免許も取ってるんだよ」
「俺と同じかよ」
坪本は今の春華の言葉を聞いて述べた。
「じゃあクラスじゃお兄さんかよ」
「ああ、じゃあうちお姉さんだな」
春華も彼の言葉からこのことに気付いたのだった。
「クラスのよ」
「おめえの何処がお姉さんなんだよ」
彼女の今の言葉に速攻で突っ込みを入れたのは佐々だった。
「どう見ても三番目かそれ位だろ」
「だよな。長女って感じじゃねえよな」
「そこはな」
男組がここぞとばかりに彼女に対して言う。
「実際二番目だったよな」
「確か。そうだよな」
「ああ、そうだよ」
春華自身もその二番目ということを認めて頷いた。
「うちって三人姉妹でな。それで二番目なんだよ」
「姉ちゃんとか妹さんもそんなのか?」
「まさかって思うけれどな」
「ああ、それは違うからよ」
皆にとっては安心するべき春華の今の言葉だった。
「姉ちゃんも妹も何か女の子っぽくてよ」
「ガサツなのは手前だけなんだな」
「それ聞いて安心したぜ」
皆実際にこんなことを言うのだった。
「っていうか何で御前だけそんなんなんだよ」
「喋り方もよ」
「何だって言われてもよ」
頭の後ろに手をやって困ったような顔になっての言葉である。
「まあ昔っからだしな」
「そのまま口の悪さが性格になってるぜ」
「攻撃的っていうかよ」
「うちは鶏かよ」
何故か攻撃的という言葉を聞いて鶏を話に出してきた。
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