ある晴れた日に
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181部分:輝けダイアモンドその十五
輝けダイアモンドその十五
「一応はな」
「よかった。わかってくれたのね」
「いいことだと思うぜ」
微笑んでそのうえで未晴に顔を向けての言葉だった。
「それってな」
「そう。いいの」
「喧嘩するよりずっといいさ」
言葉を少し変えてきた。
「微妙なものがあるのよりもな」
「いいのね」
「仲がいいってことだろ?」
もっとはっきりと問うた言葉だった。
「今は」
「そうなの。私だって恵美だけじゃなくて茜とも仲いいし」
「高山は少し前から橋口と一緒によくいたよな」
「ええ、そういえばね」
「何だかんだで下地はあったんだな」
正道はこのことについても考えつつ述べたのだった。
「やっぱりな」
「そうよね。あったのよね」
「あったんだよな。けれどな」
「けれどな?」
「今度の舞台にそれが活きるな」
牧村はぽつりと述べた。
「いい具合にな」
「そうね。少年と凛だけじゃないし」
どうしてもこの二人が軸になるのは仕方がなかった。やはり舞台の主役二人だからだ。主役がよくなければどうにもならないのはどの舞台でも同じだ。
「皆がよくないとね」
「何だかんだでな」
正道はここでまた言ってきた。
「うちのクラスって女の力が強いんだな」
「私達の?」
「特にそっちの六人と三人がな」
この九人がとまで断言してみせた。
「強いな」
「そうだったの」
「そうさ。うちのクラスはそっちの六人と三人が中心になってるんだよ」
所謂ムードを作っているということである。
「だからな。その九人の仲がいいとな」
「上手くいくのね」
「そうさ。だから今度の舞台も頼むぜ」
真面目な顔で未晴に対して言ってきていた。
「仲良くな」
「任せて」
正道の今の言葉に微笑んで返す未晴だった。
「絶対にずっと仲良くやるから」
「この舞台だけじゃないのかよ」
「ずっとよ」
またずっとと言うのだった。
「ずっと友達でいたいわ」
「柳本達だけじゃなくてか」
「勿論恵美達ともよ」
やはり彼女は恵美と最も仲がよくなっているようだ。
「ずっとね。これからもずっと」
「友達か」
「高校を卒業しても」
話は飛躍していた。しかし今の未晴にとっては現実に願うことだった。夢であっても。
「ずっとよ。一緒よ」
「柳本達とは幼稚園からずっと一緒だったんだよな」
「そうよ」
にこりと笑って微笑んでの言葉だった。
「ずっとね。けれど今度からはね」
「北乃達ともか」
「今までは六人だったけれど今度は九人で」
ただ単に数が増えているだけではなかった。未晴の中では。
「ずっと一緒にいたいわ」
「じゃあずっと一緒にやるんだな」
「ええ。お芝居が終わってもね」
「いいよな、そういうの」
「いいの?」
「友情っていうんだろ?」
正道は自分で言う側から自分の柄ではない言葉だと思った。しかしそれでも言うのだった。
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