ある晴れた日に
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182部分:輝けダイアモンドその十六
輝けダイアモンドその十六
「それってな」
「そうかも」
未晴はこの辺りは今一つ自覚がなかったのだった。
「言われてみればね」
「女の友情がどうとかって言う奴いるけれどな」
実はこれは正道の嫌いな言葉だ。男でも女でも浅い友情もあれば深い友情もある。それは人によるものだというのが彼の考えであるのだ。
「それは嘘だからな」
「嘘なの」
「本物の友情って誰でも持てるんだよ」
今それをはっきりと言うのだった。
「誰でもな」
「じゃあ私達も?」
「実際柳本とか好きだろ」
「ええ」
この気持ちはその通りだった。
「大好きよ。幼稚園の頃から」
「で、その安橋達はどうなんだ?」
「好きになったわ」
これが返答だった。
「大好きにね」
「それでいいんだよ」
「いいの」
「ああ。友情って誰かを好きになってその誰かの為に何かをする」
正道は言う。
「簡単に言えばそうだろ?まあ北乃と中森はな」
「あの二人は違うの?」
「レズ臭いものあるけれどな」
「それだけ仲がいいってことじゃなくて?」
「いつも抱き合ったりしてるのは流石にないだろ」
最近の二人のやり取りを見ての言葉である。
「何だよ、あれ」
「女の子の間じゃ結構普通だけれど」
「あそこまでいくと普通じゃねえよ。まあいいさ」
話をここで一旦打ち切る正道だった。
「とにかくな。その友情な」
「私達のね」
「ずっと忘れるなよ」
今度の言葉は真面目だった。
「絶対にな。いいよな」
「わかったわ」
未晴は正道の今の言葉に微笑んで頷いて答えた。
「それじゃあ」
「まあ。俺は応援するしかできねえけれどな」
「応援してくれるの」
「とりあえずはな」
言葉は少し照れ臭そうなものにはなっていた。
「そうさせてもらうさ」
「有り難う。じゃあ今度のお芝居も」
「俺も頑張るさ」
今回の己の仕事についても答えた。
「だからな。そっちもな」
「ええ、頑張るわ」
「そうしてくれよ」
こんな話をしながら帰り道を二人で歩いていたのだった。今未晴は咲達とも恵美達とも親友になれていることに素直に喜んでいた。しかしそれがどうなっていくかはまだわかっていなかったのだった。
輝けダイアモンド 完
2009・1・26
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